J3カターレ富山社長、秋春制の移行案へ公式見解 「賛否を表明することはまだ早い」

J3カターレ富山の左伴繁雄社長「秋春シーズン制移行」見解文(1)

▼賛成か反対か

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 本件について一番多く質問されることは本件賛否についてです。個人的な思いは別にして、現検討段階で賛否を表明することはまだ早いと思料しています。Jリーグも「今は賛否を問うものではなく、はじめから移行ありきでもない」と明言しています。

 後述していきますが、シーズン移行をする上で日本サッカー協会(JFA)から提出された案は、2017年にJリーグによって否決されたものと異なり、降雪地域に対して一定の配慮がなされています。そしてその案に対して、現在各クラブからの意見を集約した上で、移行に障害となる因子についての対応策がとれるか否かについて分析と議論を始めようとしています。集約された各クラブの意見は多岐にわたり議論には時間を要します。また、Jリーグもその全てを丁寧に整理し、ニュートラルな立ち位置を意識しながら検討を進めようとしています。

 然るに、先ずはこの議論を真摯に行い、もって可否あるいは是非判断を行うことが筋と考えています。時間はかかりますが、提案された以上は全ての課題に対してキチンと議論検討をした上でスッキリさせたいというのが、この業界に長くいた私の偽らざる心境です。

▼なぜ提案が今なされたのか

 この問いも多いのですが、それは前回論議されたシーズン移行の提案をJリーグとして否決した2017年に遡った説明が必要です。前回否決した主な理由は、

(1)降雪地帯に所在するクラブが、シーズン移行に伴うインフラ整備をするのは極めて困難。

(2)一定の成績を収めたクラブに出場権を付与されるアジアチャンピオンズリーグ(ACL)が春秋制であり、秋春制に移行した場合、シーズンを跨いだスケジュールとなってしまい、そうした中でACLを戦うことはチームのベストパフォーマンスという観点から適切とは言い難い。

(3)試合実施可能期間が短くなるため、ルヴァンカップを成立させるためのスケジューリングに無理が生じる。

というものでした。

 しかし(2)項について、アジアサッカー連盟(AFC)が2024シーズンより秋春制に移行することを決定したため、Jリーグが春秋制のままでいた場合、ACL出場クラブはシーズンを跨いだスケジュールとなってしまうという状況が生じます。これが秋春制再提案に繋がりました。この点について、ACLに関係するクラブはごく一部のクラブだから大きな影響はないのではという意見を聞きました。私はそれは違うと思っています。アジアのマーケットは日本の比ではありません。そこで成功、あるいは頂点を極めることは、日本サッカー界のブランド向上や計り知れない経済効果を生むことになるでしょう。アジアマーケットは強く意識すべきと考えます。

 また、(1)項についても、詳細は後述いたしますが、降雪地帯に配慮し、冬場の試合数を減らす日程が示されたということも再検討の秤に乗せる根拠となりました。

 一方、秋春制には前述したJリーグのナショナルブランド向上ばかりでなく、後述いたしますが、ヨーロッパクラブとの移籍の融通性や夏場のゲームが少なくなることによる強度の高いプレーができること等のチーム運営や、熱中症リスク軽減といったスタジアム観戦上のメリットもあります。過去来何度か議論されてきた本件を、リーグや全クラブが真摯誠実些細にわたり議論を尽くすことは日本サッカー界として賢明な選択と思料しています。

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