浦和は今季、なぜ逆転勝利が多いのか 選手の言葉から紐解く…指揮官のマネジメント力「うまさを感じる」

今季の浦和に逆転勝ちが多い理由とは?【写真:Getty Images】
今季の浦和に逆転勝ちが多い理由とは?【写真:Getty Images】

広島戦は先制されるも逆転勝ち

 今シーズン、ここまでJ1リーグ14試合を戦った浦和レッズは、8つの勝利を挙げている。今季初勝利となった第3節のセレッソ大阪戦(2-1)以降、第5節のアルビレックス新潟戦(2-1)、第13節のガンバ大阪戦(3-1)、そして5月31日の第11節延期分サンフレッチェ広島戦(2-1)と、全体の半分にあたる4試合が先制されながらも逆転して収めたものだ。

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 広島戦に限って言えば、MF関根貴大は先制されたことで、やることが明確になったという。

「後半頭に失点をして、落ち込みましたよ。落ち込みましたけど、心理的に『蹴るのをやめよう』ってなるじゃないですか。点を取らないといけないから。それがこの試合では良かったかなと思う。失点したことで、自分たちはつながないといけないし、前に圧力をかけないといけなくなった。そこで前からも行けたし、リスクを背負ってプレーしないといけないシーンも増えて、より前向きにプレーができたと思う」

 この試合、浦和は攻守の切り替えが早い広島を牽制した。マチェイ・スコルジャ監督は、前半はロングボールを多く蹴り、トランジションが起こりにくい状況を作るとともに相手を走らせた。これがボディーブローのように効いた。後半の立ち上がりに先制されたものの、その後は試合の主導権を完全に掌握する。

 ロングボールを入れる副産物として、前半から前を向いてプレーしやすくなっていた関根は積極的にゴールを狙っていったが、GK大迫敬介の好守もあってゴールを挙げられず。1-1に追いついた後半37分にベンチに下がる際には悔しさを滲ませていたが、「自分が勝たせかったし、これだけチャンスがあって決められなかった悔しさがあった。本当に良い流れだったから、まだプレーしたかったなという思いもありました」と、胸の内を明かした。

 最後尾からチームを支えるGK西川周作は、「この勝利は非常に大きかった。優勝するためには負けられない一戦で、自分たちの頭のなかには引き分けはなかった。勝ちあるのみという感じで挑んでいました」と、広島戦の重要性を口にするとともに、逆転勝ちが多い理由には、ベンチスタートとなる選手の働きぶりを挙げた。

 もともと後半に勝負をかけることを狙っていたスコルジャ監督だったが、後半22分の3人同時交代は、浦和の勢いを加速させた。決勝点をアシストしたFWブライアン・リンセンはもちろん、MF大久保智明、FW興梠慎三も献身的に走り、戦っていた。

「本当に途中から入ってくれる選手が、非常に質の違いを見せてくれていると思います。最初から出られなくても、途中から結果を残してくれたり、チームのために走ってくれたりする。最初から出ている選手からしたら、非常に心強いし、ありがたいですね」

 サッカー選手は、ほぼ例外なく先発出場を望んでいる。それが途中出場になっても、すぐに試合に入り、活躍できる選手が多いのは、監督の日常からの意識付けが大きいと守護神は言う。

「監督のマネジメントにもうまさを感じます。練習でも試合に出ていない選手のモチベーションが、今年はかなり高いと感じています。誰1人、文句も言わないですし、同じ方向を向いて、とにかく試合に集中してやれているという手応えを感じています」

偉大なサポーターの力「自分たちが崩れないための自信を与えてくれる」

 チームが逆転する瞬間と、勝利の瞬間をベンチで迎えた関根は、埼玉スタジアムというホームスタジアムの力にも言及した。「ホームの力ってすごいなって感じますし、(先制されても)自分たちが崩れないための自信も与えてくれます。ベンチでも『逆転多いね』って話をしていたんです」と、アジア制覇も支えたサポーターについて言及した。

 中2日で、今度は鹿島アントラーズをホームに迎える。

「こういう勝ち方をして、鹿島戦を迎えられるのは、流れとしてこれ以上はないですよね。リーグを獲るには、1つずつ勝つしかないから。『この試合が大事』って言ってきたけど、次になったら、また『次が大事』ってなる。『え? あの試合が大事だったんじゃないの?』って感じになるかもしれないけど、その瞬間を生きないと、リーグって獲れないというのはやっていて思います」

 西川は言う。

「勝ちたい。勝ちに飢えていますね。優勝したいですし、ACLを獲って、そこからリーグ戦への欲がまた強くなっているので、獲れるように準備したいと思います」

 先制されても、苦しい状況になっても、勝ちたい思いがチームに諦めることを許さない。今の浦和にあるのはその思いだ。

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