【一問一答全文】神戸イニエスタ、涙の退団会見「日本に来たことは人生で最高の決断の1つ」
5月25日に神戸市内でイニエスタが退団会見、三木谷浩史会長も出席
J1ヴィッセル神戸に所属する元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタが5月25日、神戸市内で会見を開き、今夏限りで退団することを発表。会見には三木谷浩史会長も出席したなか、さまざまな思いを語った。会見の一問一答全文は以下のとおり。
【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから
◇ ◇ ◇
■三木谷浩史会長のコメント
今回、アンドレス・イニエスタ選手がクラブを離れる決断をしたので、その報告をさせていただきたい。具体的にはノエスタで7月1日に行われる札幌戦が最終戦の予定。思い起こせば2018年の5月にイニエスタ選手がバルセロナを離れるという報道を受け、バルセロナに赴いてヴィッセル神戸を中心としてJリーグを世界のトップリーグにしていきたいという話をさせてもらった。
彼も大きな決断をしてくれて、5年間ヴィッセル神戸の一員として、Jリーグのメインプレーヤーとして日本サッカー界に多大なる歴史的な貢献をしてくれたのではないかと思う。彼の経歴は言うまでもなく、世界最高のプレーヤーというだけでなく、その人柄、謙虚な姿勢も含めてすべての人に尊敬されて愛されるプレーヤーが神戸に来て5年間を過ごしてくれた。
クラブにとって、日本サッカー界にとっても大きな財産になったのではないかと思う。ヴィッセル神戸も我々が経営を引き継いで20年が経とうとしているが、育成型クラブ、これもイニエスタ選手の貢献は甚大なものがある。
今回はこのような形で退団ということになるが、今後もクラブと有形無形の関係を通じての貢献、日本も大好きということで、折に触れて日本に来てくれるのではないかと思う」
アンドレス・イニエスタの退団会見コメントPart.1「日本に今では特別な感情がある」
こんにちは、みなさん。今日はちょっと長いスピーチになってしまうこと、読みながらになってしまうことをお許しください。伝えたいことはたくさんありますし、長い経験を踏まえてお伝えできればと思う。
5年前、自分の人生の中でも最も重要な決断の1つをしました。バルセロナを退団し、家族とともに我が家から遠く離れた地で新たな冒険を始めるという決断です。地元をあとにしてからずっと自分のホームだったクラブに別れを告げ、スペインの外で初めての生活が始まった。
今、これまでの経験を振り返ると、あの決断に対して大きな喜びと誇りの感情が湧き上がってくる。日本に、神戸に、ヴィッセル神戸に来たことは自分の人生の中で取った最高の決断の1つであり、これからもそうあり続けるだろう。
このクラブで多くの素晴らしい仲間に囲まれながら、人としてもプロとしても大きく成長できた。サッカーだけでなく、この素晴らしい国の文化も体感し、味わうこともできた。家族を温かく歓迎してくれたこの国に今では特別な感情がある。
5年間を振り返るといいことも苦しいこともあった。神戸に来た時に目標と掲げたタイトル獲得の達成、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)への2度の出場と言った歴史を刻んできた。同時に、物事が思うようにいかない昨シーズンのような苦しい時期もあった。ただ、そういう経験がチームと仲間たちをより強くしてくれたとも思う。
アンドレス・イニエスタの退団会見コメントPart.2「みなさんと過ごせたことは誇り」
ずっと自分はここで引退する姿を想像してきた。しかし、時に物事は希望や願望どおりにいかない。まだまだプレーを続けピッチで戦い続けたい思いがある。ここ数か月も激しいトレーニングを重ね、試合をプレーしてチームに貢献するための準備はできているという感覚でやってきた。しかし、それぞれの歩む道が分かれはじめ、監督の優先順位も違うところにあるとも感じ始めた。ただ、それが自分に与えられた現実であり、リスペクトを持ってその現実を受け入れた。最終的には、自分の競技面での現実と、自分がプレーし続けることに感じている情熱を掛け合わせた結果、ここを去るのがベストな決断だとクラブとの話し合いで決めた。
今日この場を借りてクラブに分かれを告げる日が来るのを発表したが、自分にとって決して簡単ではなかった。プロ人生の中でも最も難しかった決断の1つ。しかし同時に、これは永遠の別れではない。三木谷さんもおっしゃったように自分とクラブとの関係はこれからも続くし、今後は違った形、違った角度からサポートしていければと思う。
三木谷さん、日本に来てJリーグでプレーするための扉を開いていただきありがとうございます。ヴィッセル神戸のキャプテンになるチャンスをいただき、5年間の間、私と私の家族のそばでずっと応援してくださいました。この感謝の気持ちは一生忘れません。また、プレーを続けたいという気持ちを理解していただき、自分の決断をリスペクトしてくれてありがとうございます。最後に自分が引退したあとも、ヴィッセル神戸に関わり続け、ともに強いチームを作り上げていくための期待をかけていただきありがとうございます。
ヴィッセル神戸のみなさん、すべての元チームメイト、現在のチームメイト、クラブで働くスタッフ、あらゆる現場のみなさん、いつもリスペクトを持ってサポートしてくれてありがとうございます。自分の人生のこの一幕をみなさんと過ごせたことは誇りです。それぞれの局面で自分に期待される役割を全うできたことを願っている。神戸のキャプテンとして常にピッチ内外で模範となり、クラブをあらゆる面からサポートするために努めてきた。
サポーターのみなさん、私を一員として1日目から受け入れてくれた神戸市民のみなさん、自分が訪れた各地のスタジアムで応援してくれた日本中のファンのみなさん、愛情とリスペクトを持って接してくれたヴィッセルサポーターのみなさん、私がここに来た日からあらゆる場所に応援に駆け付けてサポートしてくれて、本当にありがとうございました。みなさんのクラブへの愛情、自分への愛情、本当に感謝しています。
アンドレス・イニエスタの退団会見コメントPart.3「これは永遠の別れではない」
Jリーグと日本のみなさん、本当に何度感謝してもし切れない。この国で5年間生活できたこと、この素晴らしいリーグで5年間プレーできたのはかけがえのない経験だった。日本にいる間に2人の子供が生まれ、私の家族はこの素晴らしい国で成長し、その言語を学び、友情を育みながら成長できた。
そして私にとって兄弟のような存在のジョエル、本当にありがとう。サッカーを越えて、あらゆる面で成長する手助けをしてくれた事務所のみんなにも感謝したい。最後に妻、いつも無条件にそばで支えてくれてありがとう。この5年間、日本の地で2人の家族が加わってみんなで一緒に成長できた。あなたと家族のみんなを愛している。サプライズで来てくれて、自分の家族、母や妹夫婦がここにいてくれるのも感謝している。
先ほども言ったとおり、これは永遠の別れではない。この素晴らしい国との関係性はこれからも大事にしているし、定期的に訪れる。イニエスタアカデミーなど、情熱をまだまだ注いでいきたいプロジェクトが残っている。最善の形で日本サッカー界に貢献できるように今後も務めていきます。
これで最後になりますが、自分がこのクラブを去る前に2つの大事なイベントが残っている。1つ目は6月6日、ヴィッセル神戸で初めてタイトルを獲ったスタジアムで古巣のバルサと対戦する。これまで多くのことを与えてくれたみなさんに感謝を伝えるのに、これ以上の機会はないと思う。この素晴らしく特別な日を国中のみなさんと楽しむことができたら嬉しい。
2つ目、自分にとってとても特別なのが7月1日、自分がヴィッセル神戸のユニフォームを着て過去5年の自分のホームとしてきたノエスタで最後のお別れを告げる日になります。みなさんのホームでもあるノエスタでお会いできるのを心待ちにしている。心の奥底からありがとうございました。この素晴らしい時をみなさんと共有できたことは自分にとってかけがえのない宝物です。
アンドレス・イニエスタへの質疑応答
――改めて今の心境は?
「本当に特別な日だし、特別な感情が湧き上がってくる。ここにいるチームメイト、長い選手もそうでない選手もいるけど、スタッフも含めいろいろなことを一緒に経験した。より大きなチームに成長させることをみんなで達成できた。誇りに思うし、感謝の気持ちが一番心に残っている」
――7月1日に神戸でサポーターが待っている。
「感謝の言葉しかない。彼らがチームに対して感じている愛情は、いい時も悪い時も無条件に示してくれた彼らの力がなければ乗り越えられなかった。同時に彼らが今まで経験できなかったタイトル、何かを勝ち取る喜びを提供できたのは誇り。感謝の気持ちでいっぱい」
――現役を続けたいという話があったが?
「正直に言うと、自分もまだ分からない。まずはここでしっかりと時間を全うして、そこからどんな可能性が出てくるか、扉が開かれるか見ていきたい。自分としてはサッカーを続けたいのは言ったとおり。サッカー選手としてプレーしながら引退したい気持ちが強いので、ここではそれが難しいという状況の中、それができる場所を見つけたい」
――神戸で最も思い出に残るものは?
「1つだけ選ぶのはすごく難しい。あえて言うなら、初めて掲げた天皇杯のタイトル。クラブにとって何を象徴するかを考えても自分にとって重要な局面だった。また、デビュー戦や初ゴールも思い出に残る。苦しかった時期や怪我、成績が振るわない時期は苦い思い出として残りながら自分を成長させてくれた」
――Jリーグの未来について。
「本当にこのリーグにはポジティブなことしか思い浮かばない。バルサを退団した時に、これからも自分のベストのレベルでプレーしたい、競争の環境でプレーしたいと思ってここに来たが、そういう環境が整っていると思う。今後も成長を続け、世界のサッカーリーグについて考える時に頭に浮かぶリーグになってほしい。個人的にはベストコンディションであることを常に要求されるリーグだったので、その点については良かった」
(FOOTBALL ZONE編集部)