J2で起こったペナルティーエリア外でのGKシュート阻止 元選手も「知らなかった」反則基準とは?

山口と東京Vの一戦で起きたDOGSO判定に注目(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】
山口と東京Vの一戦で起きたDOGSO判定に注目(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】

「Jリーグジャッジリプレイ」で鄭大世氏、大久保嘉人氏、家本政明氏が見解

 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、5月21日に行われたJ2リーグ第17節、レノファ山口と東京ヴェルディの試合が取り上げられた。GKによるペナルティーエリア外のハンドとDOGSO(通称ドグソ/Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity/決定的な得点機会の阻止)による退場が議論になった。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 前半22分、山口が最終ラインでパスをつなぎ、GK寺門陸が前線にパスを出そうとしたところで転倒。そのこぼれ球をシュートされると、ペナルティーエリア外にいたまま手でボールを止めてしまった。しかし、ピッチ上では即座に反則のホイッスルは鳴らずにプレーが継続。ボールがタッチラインを割ったところで、須谷雄三主審が両アシスタントレフェリー、第四の審判員とも協議して、寺門にハンドの反則があったとして東京Vにフリーキックを与え、寺門にはレッドカードを提示していた。J2にはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されていない。

 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏はルールについて、ボールと手の接点がペナルティーエリア外であればハンドの反則になると解説。一例として、身体がペナルティーエリア外にあっても、ペナルティーエリア内にあるボールに手が触れている状態は反則にならないと解説した。川崎フロンターレなどでプレーした元北朝鮮代表FW鄭大世氏と、同じくゲスト出演した元日本代表FW大久保嘉人氏はそのような細かい部分について「知らなかった」と驚きの表情を見せていた。

 また、鄭大世氏は判定には「納得」としたものの、「このあとに1分くらいプレーが流れる。そちらのほうが理解できない」と話した。また、大久保氏は「(退場は)仕方がない。これで(プレーが)流れて、このまま流れるのかと思ったら止めたじゃないですか。そこはナイスだと思う。VARもないし、その中で止めてレッドカードを出したのは、J2のVARがない中でやれたのはナイスだと思う」と話した。

元主審の家本氏は判定のプロセスを疑問視

 家本氏は「結論からすれば判定は正しい」としたうえで、アシスタントレフェリーの役割についてシュートシーンの瞬間に「この状況でGKのハンドが起こるとはあまり予想できない。それよりもボールがゴールに入るかどうかの確認のほうに意識が行くのが普通の心理だと思う。結果的にこのようなことが起こって、『あっ』とは思うだろうけど、意識は9対1くらいでゴールに向かっているので、主審に適切な情報は与えられなかった。主審は縦位置なので、ギリギリ際どいところなので確証は持てない。ただし、1分あった。無線があるので4人で情報を共有して、第四の審判員や副審と話しただろうけれども、現場でGKがラインを出ていたと思っていたらなぜ早く言わなかったか」と、判定のプロセスに言及していた。

 また、鄭大世氏が「J2ではDAZNの映像を参考にすればいい」とコメントしたが、家本氏は「IFAB(国際サッカー協議会)に申請を出して許可が出ればとなってしまうし、レフェリーも苦しい。ビジョンの映像を見て判定を確認したいと思ったこともあるけど、それは決定の約束事としてできない。間違えたと思っても、ごめんと」と、判定プロセスについての世界的な規則による壁があると話した。

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング