ストライカー問題で頭を悩ますインザーギ監督がぶち当たった名物会長の壁
現場介入好きのオーナー
日本代表FW本田圭佑の所属するACミランのフィリッポ・インザーギ監督は、30日の本拠地ウディネーゼ戦を前に名物オーナーの壁にぶち当たった。イタリア地元紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」が「ミラン、ストライカーが難題」という見出しで特集した。
インザーギ監督は、ウディネーゼ戦のフォーメーションで苦悩しているというのだ。記事ではこう現状を解説している。
「エルニーニョはブロックを解除できない。パッツィーニは順列が低い。フランス人のトップに置いた4-3-3システムをベルルスコーニは気に入っていない」
5試合連続で勝ち星から遠ざかっているインザーギ監督は、前線の人選に悩みを抱えているという。
「エルニーニョ」の異名を持つスペイン人FWフェルナンド・トーレスは、今季公式戦1得点と期待通りの結果を出せていない。控えのFWジャンパウロ・パッツィーニは夫人が出場機会の少なさに対する不満をソーシャルメディア上でぶちまけているが、指揮官に対するアピールはまだまだ不足しているようだ。
そして、インザーギ監督がウディネーゼ戦で導入を検討している今季開幕時の元フランス代表FWジェレミー・メネズを“偽の9番役”に配した4-3-3システムを、元イタリア首相でミラン会長のシルビオ・ベルルスコーニ会長が気に入っていないと指摘した。
トップ下を配置するシステムを愛する会長だが、4-3-3ではそのポジションが存在しない。指揮官は、今季開幕前の監督就任会見でも、4-3-3の導入を明言した。だが、1-1で引き分けた23日のインテルとのミラノダービーでは、試合開始から4-2-3-1の布陣でスタートさせている。その背景には、毎週試合前日にヘリコプターで練習場のミラネッロに乗り付け、選手やスタッフに訓示を垂れるなど、現場介入の旺盛な会長の意向も存在していたのかもしれない。
さらに、ガゼッタ紙は、4-3-3システムで、2試合ぶりに本田が先発復帰すると予想している。3トップは右から本田、メネズ、エルシャラウィという会長の意に反する3トップシステムで臨むとしているのだ。6試合ぶりの勝利を目指すインザーギ監督と、6試合ぶりのゴールを目指す本田。彼らは、まずトップ下を配置することを熱望する会長という壁を乗り越える必要がありそうだ。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images