「ゴール前の20mは急に人間に戻っちゃう」 浦和MF大久保、今季初ゴールを生んだ分析担当からの“指摘”
後半開始から出場し、貴重な勝ち越しゴールを記録
浦和レッズのMF大久保智明は、5月14日に行われたJ1リーグ第13節ガンバ大阪戦で今季公式戦初ゴールとなる貴重な勝ち越しゴールを決めた。チームを3-1の勝利に導いたが、その裏には分析担当からの「ゴール前の20メートルは急に人間に戻っちゃう」という一言があったという。
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大久保は2021年に中央大から浦和に加入。同じタイミングで就任したリカルド・ロドリゲス監督の指揮下で徐々に力をつけ、昨季の後半からはコンスタントな出場機会を得た。そして、今季就任したマチェイ・スコルジャ新監督からも高い評価を受けてスタメン出場が続いていた。
しかし、足りないのがゴールだった。質の高い動き出しや、データ分析会社「オプタ」による集計で昨季のJ1でドリブル成功率がトップだったことが証明している技術も発揮し、決定機に絡んできた。しかし、決定機に絡むからこそゴールを決められない姿も目立ってしまった。今季、リーグ戦でもAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝の舞台でもGKとの1対1を決められなかった場面があり、改善点なのは明らかだった。
G大阪戦は1-1で迎えたハーフタイム明けから途中出場になった大久保は後半6分、セットプレーの二次攻撃からMF関根貴大、DFアレクサンダー・ショルツとつないだボールに反応。相手の前に身体を入れながら左足で流し込んで貴重な勝ち越しゴールとし、ヒーローインタビューも受けた。そして、そのインタビュー終了後に1人で歓声を受けながら埼玉スタジアムを回る時間を「やっぱり気持ちいいですね」と笑顔で話した。
このゴールを奪えるかどうかで天地を分ける部分について大久保は、「昨日(13日)、分析担当の林舞輝さんと練習のあとに話したんですけど」と、その舞台裏について話し始めた。
「最近、プレーはいいのにゴール前の20メートルは急に人間に戻っちゃうよね、と。自陣やミドルサードでは違いを見せているのにね、という感じで。ゴール前になるとパス成功率が10%くらいしかないと。『なんでですかね』と話しているなかで、『もっと遊びますか』と。『もっとループパスを出すとか、もっとゴール前を楽しんでみれば』と。そういうので、逆に慎重に慎重にといくより、余裕と遊び心を持ってやることが決めるか決めないのかの差が出るというか。もちろん決めたいという気持ちが大事ですけど、それだけだと読まれやすくなって遠くなってしまうのかもしれない。いかに遊べるかが大事なのかなと」
浦和はこの試合でもDFアレクサンダー・ショルツがPKを決めたように、最終ラインの選手たちがゴールにも絡んでリーグ11試合で16得点の成績を残している。しかし、大久保、MF小泉佳穂、MF関根貴大のスタメン出場の多い3人の2列目トリオ全体でも、この大久保のゴールが今季初だった。
スコルジャ監督の指揮下で昨季までのチームが全体にブラッシュアップされていくなかでも、2列目の得点力は上位進出のためには必須。大久保の得たヒントがどう発展していくのか期待される。