「このクラブはたくさんのお金をかけて選手たちを取ったわけではない」

　会心の逆転勝利に、北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、上機嫌だった。会見場に現れると、「短いコメントの方がいいですか、それとも長く話しましょうか？」と、笑顔で記者に問いかけて笑いを誘った。

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　5月13日に行われたJ1リーグ第13節・湘南ベルマーレ戦（4-2）で先発した1トップのFW小柏剛、そして2列目のMF浅野雄也、MF駒井善成がいずれもゴールを決め、前節の5ゴールに続き、この試合も4点という大量得点で勝利した。しかも、1度は逆転されるという難しい展開になりながらも、3ゴールを奪い返したのだ。

「前線の3選手は、ビッグネームですからね。浅野はシュツットガルトから来ましたし、小柏はボルシアMGから。駒井は……どこかのチームから(笑)」と冗談を飛ばし、「浅野は広島でチャンスをもらえないような選手でしたし、小柏は大学から加入しています。田中駿太も大卒の選手です。岡村大八選手は群馬から来た選手。駒井はJ2の京都から浦和に移籍して浦和では出場機会があまりなかった」と、選手たちのキャリアを振り返り、決してビッグネームを集めているわけではないことを強調して、その成長ぶりを喜んだ。

「このクラブは、たくさんのお金をかけて選手たちを取ったわけではない」と言い、「もしかしたら岐阜の選手のほうが高いかもしれない」とコメントし、札幌で結果を出して海外移籍を実現したFW鈴木武蔵とFWアンデルソン・ロペスを例に出し「浅野も今、得点を重ねているから、そろそろ心配しないといけない」と、今季ここまで7ゴールのアタッカーについて語った。

「ただ、そういう選手たちがいなくなっても、なんとか生き残るのが札幌だ。今、ヨーロッパのチームで札幌のように点を取るチームがあれば、かなり注目を集めるだろう。他会場の結果は分からないが、恐らくこのチームはリーグで一番点を取っている。ここまで勝ったり、負けたりしてきたが、今日初めて連勝した。今週の試合に向けて選手たちに『連勝しないといけない』『コンスタントに勝たないといけない』と話してきた。J1のトップチームで出続けた選手ではない彼らが、毎試合、毎試合勝っていくのは経験がないこと。だが、それは伸びしろでもある。我々はまだそういう過程にあるチームであり、残念ながら出来上がった選手を連れてくることはできない。成長させながらチームを作るには、選手個人も成長しないといけないし、その過程で勝ったり負けたりする」

「次の京都との試合が重要だ。今日の勝利はもう忘れなければいけない。私も今日限りで消し去りたい。京都に勝つことができれば『札幌がここから上に行ける』と示す試合になる」と、3連勝することによって、チームとして更に前進できることを強調した。