Jリーグの衝撃光景「今まで見たことがない」 元英国代表FW、ファンの敬意にも驚き「罵声は一切なかった」
名古屋でプレーした元イングランド代表FWギャリー・リネカー氏、Jリーグ時代を回想
かつて名古屋グランパスエイト(現名古屋グランパス)でプレーした元イングランド代表FWギャリー・リネカー氏は、5月15日に開幕30周年を迎えるJリーグについて「ファンの振る舞いもとても新鮮だった」と回想。さらに「30年前に始まったサクセスストーリーが、今日まで続いている」と英公共放送「BBC」で語っている。
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1993年に名古屋に加入したリネカー氏は、「Jリーグの最初のシーズンは10チームという小規模なものだったけど、マーケティングやファンとの関わり方については、野球やアメフトといったアメリカのスポーツを参考にしていた。サッカーが流行るには、できるだけエンターテインメントである必要があると考えていたからだ」と、Jリーグ草創期を振り返る。
「フェイスペイント、巨大な旗、花火、試合前の大音量の音楽、たくさんのグッズ、チームマスコットなど、楽しさに重点を置いていたんだ。とてもにぎやかでカラフルだったし、今まで見たことがないような光景だった」
Jリーグの始まりとともにサッカー人気に火が付き、空前のJリーグブームが巻き起こった。試合は一種の一大イベントと化し、選手の人気のうなぎ上りとなるなか、テレビやCMにも引っ張りだこ。そのなかでファン・サポーターの対応は、今でもリネカー氏の印象に強く残っているようだ。
「ファンの振る舞いもとても新鮮だったね。みんなすごく興奮しているんだけど、敬意を払って接してくれる。イングランドのアウェーで受けるような罵声は一切なかったよ。観客は若い人たちが中心で、女性ファンも多く、それを見るのはとても楽しかった」
日本の至る所で“サッカーブーム”の熱を感じたというリネカー氏。Jリーグに関わった人たちの努力が結実したと感じているようだ。
「Jリーグが始まる直前まで、日本ではサッカーが小さな存在であったことを考えると、どこへ行ってもサッカーブームというのは関心の高さが窺えた。野球は流行っていたが、サッカーは相撲のような独自スポーツに比べると、人気の面で遅れを取っていた。それを変えるのが彼らの使命であり、まったく新しいスポーツであったからこそ、ターゲットである30歳以下の人たちに対応したイノベーションを起こすことができたんだ」
選手のパフォーマンス面で成長を実感、文化も定着「さまざまな面で進化している」
Jリーグの人気面だけでなく、選手のパフォーマンス面でも成長を感じていると語るリネカー氏は、当時と現在の違いについても言及している。
「私がいた頃、Jリーグの選手たち一生懸命で、技術的に優れていても、まだプロになったばかりだから精神的には少し脆いところもあった。戦術的な意識やタフさが足りなかったりするのは仕方がないことだった。でも今は違う。日本代表のトッププレーヤーは世界的に需要があり、世界中のクラブでプレーし、代表チームも大きなインパクトを与えている」
さまざまなドラマを織りなしながら開幕30年の節目の迎えるJリーグ。リネカー氏もその歩みを称賛し、サッカー文化の定着を強調した。
「Jリーグが始まった当初、単なるブームで終わってしまう恐れがあったけど、今の日本サッカーを見ると、30年前に始まったサクセスストーリーが、今日まで続いていることが分かる。ファンからの支持を得ているし、それ以外にもさまざまな面で進化している」
1993年に始まったJリーグのサクセスストーリーは、世代を超えてバトンタッチしながら、これからも続いていく。
(FOOTBALL ZONE編集部)