「方向性が間違っていなかった」 浦和、土田SD&西野TDがACL優勝の成果を分析
クラブはスコルジャ新監督の手腕を評価
浦和レッズは5月6日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦のアル・ヒラル(サウジアラビア)戦に勝利し、3回目のアジア制覇を成し遂げた。5月9日に強化部門であるフットボール本部の土田尚史スポーツダイレクター(SD)と西野努テクニカルダイレクター(TD)がオンライン取材に応じ、マチェイ・スコルジャ監督の手腕についてマネジメント能力を絶賛した。
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浦和は2019年にACL決勝で今回同様にアル・ヒラルと対戦して完敗。翌年からの3年計画を打ち出して現体制に移行した。土田SDは「私たちがこの体制になって4年目、ブレずにやってきたこと、方向性が間違っていなかったのではないかと思うこともある」と話す。その間には監督も移り変わり、大槻毅氏(現ザスパクサツ群馬監督)、リカルド・ロドリゲス氏を経て、今季からスコルジャ監督が指揮を執っている。
土田SDはポーランドリーグで4回優勝の実績を持つ指揮官について「彼にオファーを出した時に、浦和レッズがこのように変わっていってくれればいい、変わってくれるだろうという期待があった。そのベースには彼のサッカー観や、ピッチ上に伝える能力もあるが、何よりもハート、人間性の良さに好感を持った。1つになって戦うチームを作る、同じ絵を描いて同じ方向に進み、チーム一丸になって戦えるマネジメント能力に期待はしていたが、一緒に仕事をしていて数多く驚かされている」と話す。
また、西野TDも「浦和レッズの監督は本当に難しいものが求められると思う。チームとしてどんなサッカーをするかと、個の部分。レッズの選手は日本で一番になる、なっていくという個性の塊で、それをチームとしてまとめるのが本当に難しい作業だと3年間見ていて思っていた。規律と自由のバランスをどう取るのかが非常に大事ななかで、選手の個を発揮させることとチームを機能させるところに規律を持っている。まだ4か月ではあるけれども、その点のバランスとマネジメント能力が素晴らしい」と話した。
さらなる「攻撃的なサッカー」を目指す
そして、土田SDは4月末から5月にかけてビッグゲームがあったこともあり、スコルジャ監督と作り上げていくサッカーという点では発展途上だと話している。
「始動して5か月目でACL決勝があった。そのなかで、マチェイ監督が表現したいサッカーと私たちの求めるサッカーにブレはない。正直なところ、それを表現するにはまだ足りていない。ただ、チームスタイルを優先することでACL決勝でどのような結果が出るか。5月の決勝で結果を出しつつ1年間のチーム作りを考えた時に、マチェイも話していたが、まだまだやることがある、もっと攻撃的なサッカーを展開しなければいけないと。ハイライン、できるだけ長い時間敵陣で攻撃権を持ち、失ったらハイプレスで奪って再びゴールに迫るサッカーを展開したい。今後、Jリーグの中でそのような試合を見せられるようになっていけばいい。まだまだ進化、発展していく」
西野TDもまた「言えることは、理想の姿と現状のギャップはまだあるけれども、そのへんの話をできていて共有できているということ。それができているのは、次の進歩に期待していいと思う。いい意味でも、予想を裏切ってくれている。ただ、逆を言うと期待していた選手が期待どおりじゃないところもある。それは編成のところもあるかもしれない。個々の選手にまだまだ頑張って欲しい気持ちもある。ACLの結果は祝福すべきであり喜ぶべきものだけど、目標はまだ先にある」と話した。
このACLが秋春制に移行する過渡期のため、この時期の決勝戦になった。その意味では、シーズン途中に大きなタイトルを得た自信を手に残りのシーズンを戦うことできる要素もある。スコルジャ監督と浦和がどれだけチームの競争力を高めていくか、さらなる進化が期待される。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)