浦和のACL優勝から受けた刺激 千葉と磐田の両キャプテンが語った熱い思い
磐田MF山田大記と千葉DF鈴木大輔が胸中
浦和レッズが埼玉スタジアムで優勝を決めたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦の翌日、フクダ電子アリーナではJ2ジェフユナイテッド市原・千葉とジュビロ磐田のゲームが行われた。結果は、磐田がセットプレーの流れから途中出場のFWジャーメイン良が胸トラップからボレーシュートを決める形で1-0と勝利したが、雨のピッチでもお互いの情熱がぶつかり合う、熱のこもったゲームだった。
ACLがスタートした2002年以降、Jリーグ勢でこの大会を制したのは浦和をはじめガンバ大阪、鹿島アントラーズの3クラブしかいない。しかし、前身のアジアクラブ選手権に遡れば、古河電工(現・ジェフ千葉の母体)、読売クラブ、そしてジュビロ磐田が優勝している。つまり、この両チームはアジア王者に輝いたことのある両者によるクラシックな対戦カードでもあったのだ。
磐田の選手たちはACL決勝をホテルの食事会場で、みんなで見届けていたという。浦和のMF岩尾憲とも親しいというキャプテンのMF山田大記は「嬉しさが大半ですけど、そのあとで少し悔しさがある」と語り、改めて前向きな刺激を受けたという。J2で戦っているリアルな現状を認めながらも「このクラブが築き上げてきたものだったり誇りというものは、このクラブに携わる人間が持ち続けなきゃいけない」と思いを明かした。
浦和で2年間プレーした千葉のキャプテンDF鈴木大輔は、2019年のACL決勝でアル・ヒラルに敗れる悔しい経験をした当事者でもある。
「自分はあの舞台に立って、すごい悔しい思いをして、力の差を感じて。そこからクラブとして選手が変わってきたなかでも、同じ相手と戦って優勝をものにする。浦和の偉大さというか。改めて自分も、あそこで戦えたことを誇りに思うし、いろんな感情が湧いてきたなかで、戦う姿勢を強く打ち出せたらいいなと思ってプレーしました」
そう振り返る鈴木も、「クラブとしても世界に出ていくという目標を掲げている」と語るとおり、千葉が古河電工からつないできた伝統、そして彼が所属する以前からJ2で戦っている現実と向き合いながら、このクラブであのステージに立ちたいという思いを強くしたようだ。
「自分たちは今J1昇格を目指してやっているけど、その先を目指してやっていく。今回の浦和も前の選手たちが関わってるんだよと。いつかジェフがアジアの頂点に向かう時に、そこで支える責任ある立場として、本当に未来の土台を築いていきたい」
――できれば、その時に大輔選手いて欲しいですけどね(笑)。ジェフでは前所属ではなく現所属で。
「はい、そうですね。アジアを目指して」
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。