“天才少年”中井くんが挑むレアル下部組織の熾烈な競争 世界最高峰のエリート育成とは

142選手がプロとして活躍する意義

 10月に開催されたクラブ総会でフロレンティーノ・ペレス会長は、下部組織についてクラブの根幹を支える大事なコンテンツであることを話した。さらにレアルの下部組織がいかに優れているかを、ソシオたちに力強く話している。

「現在、レアル・マドリードの下部組織出身の選手142人が、プロとして活躍をしている。51人がリーガの1部でプレーしており、53人が海外、38人がリーガの2部でプレーしている。またバルデベバス(練習場のある地名)では、280人の選手たちが13のチームに分かれ、日々サッカーに取り組んでいる。昨シーズンはそのうち9つのカテゴリーでリーグ優勝を果たし、2チームが準優勝に輝いた」

 どのクラブも各シーズン、20人近い選手たちが下部組織から巣立っていく。その多くがプロになる夢を叶えられないことを考えれば、レアルの142人のプロ選手という数字は際立っている。2001年にデビューし、今でもギリシャで現役を続けているラウール・ブラボ(アリス・テッサロニキ)を最年長として考えた場合でも、レアルは毎年8.8人、単純に10年で計算すると毎年14.2人がプロ選手へとステップアップしていることになる。

「才能ある選手を集めているんだから、プロになる選手が多いのも当然」

 そんな声があってもおかしくない。ただ、レアルの下部組織から多くのプロ選手が輩出されていることは事実であり、“エリート”と呼ばれるレアル下部組織の選手たちがトップチーム昇格の夢を掴むために、バルデベバスで日々サッカーに真摯に取り組んでいるのである。そして、そうした厳しい競争を勝ち抜いた者だけが、世界一を決めるFIFAクラブワールドカップの舞台に辿り着けるのだ。

【了】

山本孔一●文 text by Koichi Yamamoto

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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