“天才少年”中井くんが挑むレアル下部組織の熾烈な競争 世界最高峰のエリート育成とは
レアルOBが語る下部組織の哲学
それでもレアル・マドリードの下部組織が、サッカー少年の夢であるプロ選手に近いコースであることは間違いない。スペイン各クラブのカンテラの中でも、レアル・マドリードはトレーニング環境とサポート体制に優れており、近代的な施設を意味するファブリカ(工場)と呼ばれている。
レアルの下部組織で育ちトップチームでプレー。スペイン代表の一員として2008年欧州選手権優勝を果たしながら10年に心臓疾患により現役引退後、下部組織で監督も務めたルベン・デ・ラ・レッド氏は、レアルが誇るカンテラについて次のように語ってくれた。
「下部組織の哲学は、トップチームでプレーする可能性を持つ素晴らしい選手の育成が一番にある。何よりも規律を、子どもたちは学ぶ。そして責任と教育、特に要求に対するためのしっかりとした働きをすることを学ぶ。マドリードは常勝が義務づけられたチームなだけでなく、下部組織でもその振る舞いをルーペで見られているようなチームだ。だからこそピッチの中の振る舞いだけでなく、ピッチ外でも模範となる行動をとることの重要性を子どもたちは自ずと身につけている」
普段から周囲の関心を集めるクラブの一員であることは、自ずと自らの行動を規律あるものとし、周囲の期待に応えるために真摯にサッカーに取り組むようにする。1日24時間、レアルの選手であることを意識した生活をすること。それでも、それは成功を収めるための最低限の条件でしかない。