今季公式戦初黒星を喫したバイエルン、無敵の牙城を崩したのは、かつて獲得寸前だったマンCのエースストライカー
17歳当時のアグエロは「怠惰で高額」
マンチェスター・シティのアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロが2006年、バイエルン・ミュンヘンに移籍寸前だったことがわかった。英地元紙「デイリー・メール」が報じている。
25日に行われた欧州チャンピオンズリーグ1次リーグ第5節のバイエルン・ミュンヘン戦でマンCはアグエロのハットトリックの活躍により、3-2でチームの勝利を挙げた。この試合はバイエルンにとって今季公式戦初黒星となった。
無敵のドイツ王者に土をつけたエースはかつてバイエルンへの入団が決まりかけていたが、当時バイエルンの指揮官を務めていたフェリックス・マガト氏がアグエロを「怠け者」と評価。移籍成立の土壇場で獲得が白紙となったと報じられている。
バイエルンは06年当時、母国アルゼンチン強豪インデペンディエンテでプレーしていた17歳の若き才能を調査した欧州最初のクラブだったという。しかし、違約金が1200万ポンド(約22億円)と設定され、バイエルンのウリ・ヘーネスGMはあまりの金額の高さに抵抗感を示していたが、アグエロのポテンシャルに対しては多大なる評価を下していた。
「彼は全くもってバーゲン価格ではなかったが、その才能に疑いの余地はなかった。移籍金は高額だが、イタリアやスペインのクラブより先に彼を確保する必要があった」
ヘーネス氏は、当時監督だったマガト氏に南米行きと、アグエロのスカウティングを要請したが、マガト氏から帰国後に凄まじいクレームを受けたという。
「もう二度と私の時間を浪費させないでくれ。何もできずに試合中、立ち尽くしている選手の視察なんて、あまりにもったいない時間の浪費だ」
マガト氏は17歳のアルゼンチン人の若手を「怠惰で高額」と決めつけた。バイエルンの戦力としては不十分であり、チームに「損失」をもたらすと判断した。そして、バイエルンは獲得を見送る結論を出したという。
その8年後のエティハド•スタジアムのピッチ上で、ヘーネス氏とマガト監督の見解は皮肉にも正しかったことが証明されたのである。現在26歳と成長したエースが、3つのゴールでバイエルンに対する、今季公式戦初黒星という「損失」をもたらしたのだ
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images