「多くの方が違和感を」 名古屋マテウス、クイックリスタート→警告の判定に日本代表OB&元主審が見解

名古屋のマテウス・カストロ【写真:徳原隆元】
名古屋のマテウス・カストロ【写真:徳原隆元】

「Jリーグジャッジリプレイ」で永井雄一郎氏、坪井慶介氏、家本政明氏が見解

 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、4月29日に行われたJ1リーグ第10節、横浜F・マリノスと名古屋グランパスの試合が取り上げられた。名古屋のFWマテウス・カストロが、クイックリスタートのようにも、判定への不満を示したようにも見えるロングシュートで警告されたプレーがあった。

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 この試合の前半12分、名古屋が自陣でボールを奪ってカウンターを仕掛けようかという場面で、横浜FMのDF松原健がファウル。山下良美レフェリーは、松原を呼んで注意を与えていた。その間にボールはかなり前方に転がっていたが、マテウスは山下レフェリーのところに向かったあとに、松原と会話をしている間に止まっていたボールをロングシュート。ファウルの地点からはかなり前だった。山下レフェリーはマテウスにイエローカードを提示したが、この判断が話題になっていた。

 ゲスト出演した元日本代表FW永井雄一郎氏は、「あからさまにボールの位置も違うし、ゴールに向かって蹴っているのでクイックプレーだと思うかもしれないが、実際には異議として取られても仕方がない」とコメント。ただし、イエローカードという判断には「ちょっと厳しいかなというのがある。クイックでやろうとした意思はあると思うので、注意という形で戻して良かったのかなと思った」と話した。

 同じくゲスト出演した元日本代表DF坪井慶介氏も「似たような意見」としつつも、「なんで蹴っちゃったのかな」とマテウスの行動には疑問視。「自分自身も抗議に行って、ゲームが止まっているのも分かっている。不服と取られやすい」と話した。一方で、イエローカードは厳しいという意見も同様だった。

 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、「ある部分にフォーカスしたコントロール」と「全体をいい方向に向かわせるマネジメント」と分けた考え方を提示。そのうえで、「レフェリーの存在はサッカーの魅力を高める、輝かせるために競技規則を適用するとされているので、その観点からすると多くの方が違和感を持っているのではないか」とイエローカードの判定に疑問を示した。

坪井氏は「マテウス選手に出すなら松原選手にもあって良かった」と意見

 クイックリスタートが許可される条件について家本氏は「明確なシグナルをしなければいけないとは、されていない」とコメント。ただし、「状況からしてレフェリーも話をしているし、ポイントも大きく違う。クイックリスタートが認めてもらえる状況でないことは、なんとなくみんなが分かっていると思う」と話した。また、マテウスが警告された根拠としては競技規則のうえで「プレーの再開を遅らせる」「言葉または行動により異議を示す」「反スポーツ的行為を行う」のどれかに該当する可能性があるとした。

 坪井氏は、「マネジメントの意味で、(カードを)マテウス選手に出すなら松原選手にもあって良かった」とコメント。現在は選手兼監督の永井氏は、「今の立場で選手たちと接するところでは、何も言うなと伝えている。自分たちがやれることをやりなさいと。ただ、当時の僕ならとんでもない、当時を知っているメンバーはお前が言うなとなるけど(笑)、立場も立場なので。主審のジャッジは決定事項で従うしかないから、あとで自分が話しにいくようにすると伝える」と話していた。そして、「余計なイエローカード、ボールを蹴るのが異議という行為に感じてしまう。印象で、出されてしまったら変わらない。監督の立場では、余計なことをしないのが一番」と話していた。

 また、家本氏は山下レフェリーが今夏の女子ワールドカップ(W杯)にアポイントされていることを踏まえ、「世界とのギャップを埋めることや、自分が世界大会で基準を変えるのは難しい。世界的に認められるものではないという話にもなっているので、僕ら視聴者側が理解すること、1つの部分から少し俯瞰して世界の基準がどうなっているのかということも考えられたらいい。日本サッカー協会や審判委員会が考え方を明らかにしてくれると、違和感が薄まると思う」と話していた。

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