“本物”への変貌の最中… 「なぜ今辞めるのか?」 川崎と別れを告げる風間監督が口にした答え

「このチームはポテンシャルに溢れている」

「私が大事にしているのは、『継続』と『刺激』。断っておくが、決してこのチームに勝機を見出せなくなり見限ったというわけではない。むしろ、ここは若い選手の台頭やベテランの活躍などがうまく融合し、素晴らしいポテンシャルに溢れている。ただ、自分の中で大事にしているのは、色んなものを見て学んで、それを選手に還元していく。それを実行していくには、自分が伸びていかなければいけない。それをしばらく前から考えていた」

 5年に渡り、風間監督はポゼッションサッカーを川崎に浸透させ、確固たるスタイルを確立させた。しかし、その先を目指すには何かが足りない。それが風間監督の出した結論だったのかもしれない。風間監督は新たな環境に身を置き、指揮官としてさらなる成長を求める道を選択したのだ。

 Jリーグを締めくくるセレモニーは行われたが、川崎の冒険はまだ終わっていない。年間勝ち点1位の座は浦和レッズに明け渡す形になったが、23日に行われるチャンピオンシップ準決勝で、ファーストステージ王者・鹿島アントラーズをホーム等々力陸上競技場に迎え撃つ。

 「風間政権の最後のシーズン、このサッカーで優勝したい」。主将のMF中村憲剛は常にそう言葉にしてきた。泣いても笑っても、風間フロンターレは今季で終焉を迎える。「初めて指揮したプロのクラブがここでよかった」。そう締めくくった風間監督は川崎に最後の置き土産を残すべく、選手たちは風間監督を最高の形で送り出すべく、チームは一丸となってチャンピオンシップ制覇を見据えている。

【了】

城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

 

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