浦和と対戦のアル・ヒラルは“アジアのラスボス” ACLで3度目の決勝対決、実力者揃いのチーム攻略の鍵は?
アル・ヒラルはACLで19年、21年大会にも優勝している実力派
J1浦和レッズは4月29日と5月6日に、3回目のアジア王者を目指してAFCチャンピオンズリーグ(AFC)の決勝戦に臨む。その対戦相手のアル・ヒラル(サウジアラビア)は、現在のアジアサッカー界において「ラスボス」と呼ぶべき相手だ。
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このACLは、アジアクラブ選手権など3つに分かれて開催されていた大会が統合、刷新されて2002-03シーズンからこの大会名称になった。そのなかで浦和は2007年と17年に優勝していて、リニューアル後の最多タイになる。浦和と同じく、2回優勝を果たしている1つがアル・ヒラルだ。
サウジアラビアの首都リヤドを本拠地とするチームは、青のチームカラーでリーグ優勝が18回。サウジアラビア代表選手が多数在籍し、オイルマネーを背景にした潤沢な経済基盤を持つことから外国籍選手の質も高い。そのアル・ヒラルと浦和が決勝戦で対戦するのは2017年、19年に続いて3回目。大会リニューアル後に決勝で同じカードが2回以上行われているのは、この両者の対戦だけだ。
アル・ヒラルは浦和を決勝で下した19年、前回にあたる21年大会も優勝。今年の2月に行われたクラブ・ワールドカップ(W杯)では準決勝で南米代表フラメンゴ(ブラジル)を下して決勝に進出。欧州代表のスター軍団レアル・マドリード(スペイン)とゴールの奪い合いを演じて3-5で敗れたが、その力を世界に示した。
サウジアラビア代表は昨年のカタールW杯で、大会初戦でアルゼンチン代表を2-1で下して大きなサプライズを起こした。その試合でゴールしたFWサレー・アル・シェフリとFWサレム・アル・ドサリはいずれもアル・ヒラルの所属選手。26人のメンバーのうち13人という最大派閥を結成してカタールでの戦いに臨んでいたことから、アル・ヒラルは実質的にはサウジアラビア代表と外国籍選手の融合チームと言うことができるだろう。その事実だけでも十分な手ごわさを感じることができる。
質の高い外国籍選手の起用法が重要なポイントか
外国人選手も粒ぞろいだが、今大会の外国籍選手枠が3人+アジア枠1名ということが、出場選手の予想を難しくする。アジア枠はFC東京でのプレー経験も持つ元韓国代表DFチャン・ヒョンスの起用が確定的だが、攻撃的なポジションには3人の枠よりもかなり多い外国人選手を抱える。最前線のナイジェリア代表FWオディオン・イガロやマリ代表FWムサ・マレガといったアフリカ国籍の選手に、19年大会決勝でも存在感が絶大だったペルー代表MFアンドレ・カリージョ、アルゼンチン人MFルシアーノ・ビエット、元コロンビア代表MFグスタボ・クエジャル、ブラジル人FWミシャエウと南米国籍の多彩なメンバーがいる。
ここから、どの3人がセレクトされるのかは非常に読みづらい。3トップがすべてこれらの選手からセレクトされる超攻撃的な選択もあれば、クエジャルやビエットといった中盤の中央エリアでプレーできる選手を重視する可能性もある。浦和とすれば、事前のスカウティングでこの起用メンバーをどこまで読み切れるかも重要なポイントになりそうだ。
チームを率いるのは、17年大会でも指揮を執っていたラモン・ディアス監督。アルゼンチン代表で活躍し、1993年に開幕したJリーグでは横浜マリノス(当時)でプレーした初代得点王という意味で、日本にも縁がある。ただ、外国人枠の縛りがないゲームでは緻密な戦術を駆使するというよりは、シンプルに力のあるアタッカーたちにボールを預ける攻撃が多い。浦和としては、そうした特徴も見ながらプレーする必要があるだろう。
中東の雄アル・ヒラルは、近年の実績からしても間違いなくアジアの「ラスボス」と言える存在。まずは4月29日にアウェーで行われる初戦をどう乗り切れるのかが大きなポイントになってくるが、これまでの対戦からもキングファハド国際スタジアムは浦和サポーターのわずかな一角を除いて真っ青に染まる強烈なアウェーの雰囲気で圧力を感じることになることが確実。17年に優勝した時のように、アウェーゴールと引き分け以上の結果を持ち帰りたいところだ。