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なぜ試合を止められなかった? 湘南×名古屋のゴール後に相手のPK認定にJFA審判委員会が見解
JFA審判委員会がレフェリーブリーフィングを実施
日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は、4月26日にオンラインでレフェリーブリーフィングを実施。いつかの事例を取り上げるなかで、4月23日に行われたJ1リーグ第9節の湘南ベルマーレ対名古屋グランパスが取り上げられた。
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後半30分、ペナルティーエリア内に湘南のMF山田直輝が切り込んだところで名古屋DF中谷進之介との接触で倒れた。岡部拓人レフェリーはノーファウルと判断したが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入してオンフィールドレビューを行い、湘南のPKになった。その映像を確認したタイミングが、反撃に移った名古屋の攻撃でFWマテウス・カストロのシュートがゴールに吸い込まれたところだったために、話題を呼んでいた。
JFA審判マネジャー・リーグ担当統括の東城穣氏は、まず名古屋の得点を取り消して湘南にPKを与えた判定は正しいものと話し、VARがより早いタイミングでゲームを止めるように主審へ進言できたかどうかについて話した。
この場面では、山田が接触して倒れたところから、マテウスのシュートがゴールに入るまで35秒間だった。VARルームの音声も同時に再生された映像では、プレーの直後から映像の確認が始まっていて、清水勇人VARのものと思われる声が主審にオンフィールドレビューを進言することを決めたと判断できるコメントをした時点では、名古屋の攻撃がかなり湘南陣内の奥深くまで進んでいた。
東城氏は「すぐにスローインやゴールキックなどでプレーが止まってチェックを待つことが多いが、今回はゲームが流れた。もし状況として止められれば『ストップ・ザ・ゲーム』と(VARから)声を掛けるが、名古屋のゴールチャンスまで進んでからは止められない。その観点でいくと、止めていい場面は(山田の転倒から)10秒から15秒の間だけだった」と話す。
また、山田の転倒が起こる湘南の攻撃の流れで、タッチライン際で湘南にハンドの反則があった可能性があるシーンもあり、そうしたことも合わせて確認しての結果であることから「新たな事象になる前に止めたいところだが、スピードと正確性の両方を追い求めないといけない。VARとしては適切な対応であり、ベストを尽くした結果だった」と、見解を話した。
東城氏はこのような場面において、名古屋の攻撃に移ったプレーの中でVARのチェックが必要な事象が起こる可能性については、「VARがPKのチェックをしている間に、AVAR(アシスタントVAR)が役割を引き継いでリアルタイムで流れているプレーをチェックしている」と、その役割分担を説明した。
また、このJ1第9節では北海道コンサドーレ札幌とアビスパ福岡の試合で、同様に札幌のシュートが決まった時点でその1つ前にあったプレーに対してVARからオンフィールドレビューの進言があり、札幌のゴールを取り消して福岡のPKに判定が変更された場面があった。東城氏はこの事象についても「同様にVARがベストを尽くしたなかで、手順の中で『ストップ・ザ・ゲーム』はできない状況だった」と、見解を話していた。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)