“浦和のエース”興梠慎三「優勝したい」 ACL決勝前の胸中…ベテランFWがこぼした感謝の言葉
川崎戦後、サウジアラビアへと旅立つ前の心境告白
浦和レッズは4月23日のJ1第9節川崎フロンターレ戦を1-1で引き分けた。試合を終えた浦和は、会場の等々力陸上競技場をあとにすると、そのままAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝戦の第1戦、アル・ヒラルとの戦いに向けサウジアラビアへと旅立った。ACLでの日本人最多ゴール記録を持つ“浦和のエース”、FW興梠慎三はここまでの道のりを切り開いた選手たちへの感謝を言葉にしていた。
【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから
アジアサッカー連盟(AFC)は、クラブチームのカップ戦を秋春制へと移行することを発表。現在はその過渡期にあり、今大会は昨年4月にグループリーグ、8月に東地区の決勝トーナメント、今年2月に西地区の決勝トーナメントが行われ、4月29日と5月6日に決勝戦が行われる大会になっている。さらに言えば、浦和が今大会の出場権を得たのは2021年度の天皇杯で優勝したことによるもの。そのため、天皇杯の戦いから考えれば約2年間の長丁場の集大成がこの決勝戦になった。
興梠は、2017年の優勝も19年の準優勝も浦和のエースとして経験してきた。2012年まで所属した鹿島アントラーズ時代の10ゴール、浦和での16ゴールを合わせると、ACLで日本人最多の得点記録を持つ。それでも、20年の最終戦で負傷した興梠は21年にリカルド・ロドリゲス監督が就任したチームでは出場機会を減らし、ACL出場権を獲得した天皇杯の決勝では登録メンバー外。昨季は北海道コンサドーレ札幌に期限付き移籍していたため、グループリーグと決勝トーナメントを戦っていない。
それだけに、興梠の口から出てきたのは、これまで浦和で戦ってきた選手たちへの感謝だった。「今回は予選を戦っていないので、去年までいた、例えば(キャスパー・)ユンカーだったり江坂任とかだったり、予選を戦ってきた選手たちの分まで背負って戦わないといけない。もっと掘り返せば天皇杯で優勝しなければ、ACL出場権がなかった。そこにいる槙野が決勝ゴールを決めてACLの出場権を取れたので、そんな色々な人の気持ちを背負って戦わないといけないと思います」と、名古屋グランパスに期限付き移籍したユンカーや、蔚山現代(韓国)へ移籍した江坂に言及し、この日に会場を訪れていた元浦和の槙野智章氏にも視線をやって話した。
アル・ヒラルとのアウェー戦は「Jリーグとは別物」
興梠は過去2回の決勝戦もアル・ヒラルと対戦し、アウェーでの強烈な圧力を経験している。それだけに「Jリーグとはまた別物だと思うし、アウェーではハーフコートゲーム(浦和が自陣に押し込まれた状態)になる。そういう試合展開になると思って試合に臨みます」と、厳しい展開は覚悟している。それでも「その中でも1、2本ぐらいチャンスはあると思うので、そこをしっかり決めれれば第2戦につながる」と、17年に劣勢の中でFWラファエル・シルバが一撃を決めたような試合展開を思い描いている。
札幌への期限付き移籍から復帰したのには、「現役引退をするのは浦和と決めている」という思いや、「いい状態でプレーできるのはあと1年か2年」という思いもある。この大舞台に合わせるかのように好調を維持して迎える興梠が、浦和のエースとして中東の地で貴重なゴールを持ち帰ってくることを、浦和のファン・サポーターも待ち望む。そして等々力で温かいエールを受けた川崎のサポーターに対しても「もちろんレッズサポーターもそうですけど、川崎サポーターもすごく頑張ってこいと声援をくれたので、日本の代表ということで優勝していきたいなと思います」と感謝を話し、中東へと旅立っていった。