「ビッグ6の失敗」 プレミア、歴代最多の監督交代劇が起きた5つの理由を英報道「中堅クラブが台頭」

今季のプレミアリーグでは多くの監督が退任となった【写真:ロイター】
今季のプレミアリーグでは多くの監督が退任となった【写真:ロイター】

今季はチェルシーやブライトン、トッテナムなど続々と監督が入れ替わり

 イングランド1部プレミアリーグは今季歴代最多となる13人の監督交代が起きている。相次ぐ指揮官の交代劇について英国のリーグ監督協会(LMA)の最高責任者リチャード・ビーバン氏が5つの要因を挙げている。英公共放送「BBC」が報じた。

 昨年8月30日、ボーンマスがスコット・パーカー監督を解任したのを皮切りに、チェルシーのトーマス・トゥヘル監督、ブライトンのグレアム・ポッター監督、ウォルバーハンプトンのブルーノ・ラージ監督、アストン・ビラのスティーブン・ジェラード監督、サウサンプトンのラルフ・ハーゼンヒュットル監督と2022年中だけでも6人が退任した。

 さらに、年が明けてもエバートンのフランク・ランパード監督、リーズのジェシー・マーシュ監督、サウサンプトンのネイサン・ジョーンズ監督、クリスタル・パレスのパトリック・ビエラ監督と解任ラッシュに。さらにクラブとの関係悪化が伝えられていたトッテナムのアントニオ・コンテ監督は双方合意の下で契約解除を行って退団。そして今月2日にはレスター・シティのブレンダン・ロジャーズ監督とチェルシーのポッター監督が解任された。

 LMAのビーバン氏はこうした監督交代が連続している理由を5つを挙げている。1つ目は「ビッグ6の失敗」。リバプールやチェルシーが低迷する一方でブライトンやニューカッスル、ブレントフォード、アストン・ビラなど中堅クラブが躍進していることで、例年以上の予測不可能なシーズンとなっている。「ビッグ6の変動が激しく、中堅クラブに台頭する機会が生まれたことでリーグ内の雇用が不安定になっている」という。

 2つ目は「激しい残留争い」。現時点で最下位のサウサンプトン(勝点23)から12位のクリスタル・パレス(同36)までの9チームが13ポイントの中に収まる大混戦となっている。この下位9クラブのうち今季監督交代が起きていないのはウェストハムとノッティンガム・フォレストの2クラブのみ。ビーバン氏はプレミア残留を争うプレッシャーが監督人事にも大きな影響を与えると見ている。

 3つ目は年々その傾向が強まっている「短期主義」。現在のプレミアリーグで最も長くチームを率いているのは2015年10月に就任したリバプールのユルゲン・クロップ監督で、2年以上継続しているのはわずか5人のみ。ビーバン氏は「今季解任された監督の平均在任期間は1.57年。退任した13人のうち10人が2年未満だった」とし、「こうした短期的なアプローチは監督やコーチの質と才能を損なわせている」と危機感をつのらせた。

 4つ目は「競争力のバランス」。ビーバン氏は「プレミアリーグのグローバルへの展開とその収益によって、全てのクラブが質の高い選手を獲得し、各クラブのパフォーマンスのギャップが縮まって競争力のバランスは高まっている」と話した。リーグ全体の競争力が底上げされていることで、前述したような予測不可能なシーズンを招き、監督交代が起きる要因へとつながっている。

 そして5つ目は、「これまで以上に厳しい監視」があるという。プレミアリーグを戦うクラブの選手や監督への監視の目は年々厳しくなっており、ビーバン氏は「外部からのプレッシャーも強く、クラブの意思決定者が短期的に決断することを求められている」と指摘した。各クラブ、結果が出るまで辛抱する余裕はなく、結果が出なければすぐに次の策を打たなければならない状況となっているようだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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