浦和、リーグ戦から11人総替えの理由 指揮官が思い描くビジョンとは?「言い訳にはしたくない」
浦和はルヴァンカップで湘南と1-1で引き分けた
浦和レッズは4月19日、ルヴァンカップ・グループステージ第4節の湘南ベルマーレ戦を1-1で引き分けた。これで、この大会は開幕から4試合連続引き分けと勝ち切れない結果が続いている。マチェイ・スコルジャ監督は、シーズンを見据えて選手たちのプレータイムを優先した起用をしていることを記者会見で語った。
両チームの入ったグループは引き分けの多い混戦だが、中でも浦和は開幕から3試合連続引き分けだった。スコルジャ監督はリーグ戦の合間にある水曜日の試合では大幅なターンオーバーを実施してきている。この試合でも、直近のリーグ戦からは11人全員を入れ替え。新加入のギニア代表FWホセ・カンテや、ユース所属で二種登録のMF早川隼平をいずれも初スタメンのピッチに送りだした。
しかし、それは裏目に出た。前半3分に元浦和のMF山田直輝に先制点を奪われる展開で、指揮官も「非常に悪い形でスタートしてしまった。早い時間帯に失点し、その後もゲームのリズムをつくることができなかった。全体でナーバスになっていたと思うし、カンテや早川のように初めて先発する選手もいて、ピッチ上の共通言語がなかったような状態で始まってしまった」と、スタメンが機能しなかったことを試合後の会見でも話した。
それでも浦和はMF平野佑一が最終ラインを出入りしながらボールを散らしてリズムを作り始め、ハーフタイム直前には早川がクラブのJリーグ公式戦での最年少記録となるゴールも決めて1-1の同点に追いついた。後半の立ち上がりも悪くなかったが、後半17分の3枚替えでは早川のゴールに絡んだMFダヴィド・モーベルグや、リズムを作っていた平野を交代。10分後にはカンテを下げてFWブライアン・リンセンを投入したが、交代を経てチームの機能性は下がった感があった。
スコルジャ監督はその起用について「後半は5人交代した。体調不良から戻ってきているブライアンなどの出場機会も今日の試合で設けたいと思っていた。ACL(AFCチャンピオンズリーグ)の決勝を控えている中で、何人かの選手をチェックしたいと思っていた試合でもあった。平野は今日、かなり良かったと思う。パフォーマンスが悪かったから交代したわけではなく、ボランチとしての安居海渡も今日は見たかった。また、怪我から戻ってきている柴戸海に90分の出場時間を与えようと思っていた。平野は良いゲームをプレーしていたと思うが、彼のパフォーマンスとは別の理由で交代した」と話した。
指揮官は「メインターゲットはもちろん勝ち点3を取ることだったので、先ほど言ったようなことは言い訳にはしたくない」と話したが、目の前のゲームの勝利とは違う部分にも目を向けながら戦ったのは事実だろう。それは、ACL決勝やシーズン全体を見据えた投資とも言える。
これで浦和は勝ち点4で、自力での首位突破は消滅。しかし、混戦グループだけに川崎フロンターレと清水エスパルスに連勝して勝ち点を10に伸ばせば、何かが起こる可能性も十分だろう。スコルジャ監督は「得ることができた勝ち点は1だったので、まだこのグループを突破するには足りない。残り2試合でそれを決めたい」と話す。この日の選手起用が、より大きな成果となってチームに戻ってくるのかどうかが問われるゲームになったと言えそうだ。