浦和監督が来季からのJ外国籍選手枠の拡大に異議 「日本サッカーにとって矛盾した現象だ」
海外のものを“ありがたがる”文化にも疑問
「海外には代表レベルの選手でなければ獲得できないリーグもある。日本も、なんの制約もなく外国人選手が来られないようにするルールを考えるのも一案なのではないか。私が日本に来た11年前から比べれば、日本サッカーは戦術も技術も進歩している。外国人だからといって簡単に活躍できないようになったのは、Jリーグと日本人選手のレベルアップがあるはずだ」
ペトロヴィッチ監督は、日本人選手に対して大きなクオリティーの差が見られる外国籍選手のみがJリーグに参戦すべきだと持論を語った。それと同時に、海外のものを“ありがたがる”日本の文化に対しても、一定の疑問を呈している。
「日本は文化的に、海外から来るものに価値があると感じられることが多いのではないか。最近では様々な分野で自国の良さが評価されるようになってきているように思うが、サッカーもそうなっても良いのではないか? 日本の中で、もっと日本人選手が注目されてほしい。日本サッカーが発展するためには日本人選手の成長だけでなく、注目されるようになることも必要だからだ」
今季の浦和は、ほぼ日本人選手で構成されるメンバーで戦っている。元スロベニア代表FWズラタンと同DFブランコ・イリッチもプレーしているが、スタメン11人が日本人というゲームが大半だ。それでも3日のリーグ最終戦を前にして、年間勝ち点73でトップに立っている。
今年はリオデジャネイロ五輪が開催されたことで、23歳以下の選手たちの出場機会に対しても議論がなされた。4年後には自国開催の東京五輪が控えるが、若手選手の出場機会の確保と外国籍選手枠の拡大との関係は必ずしも両立しない面があると、ペトロヴィッチ監督は指摘している。日本で11シーズンを過ごしてきた外国人監督からの提言は、Jリーグ関係者にはどのように響くだろうか。
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轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada
フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web