守られた“浦和と三菱”の伝統 今後は増資など積極的な経営戦略が焦点に

「練習環境など設備投資はしやすくなる」

 昨日までの時点で、浦和は三菱自動車、地元行政である埼玉県とさいたま市を除くと27社が株式を保有しているが、ここに新たな企業が株式保有をする形で増資が行われる可能性があると説明された。

 こうした動きを受け、気になるのはチームの現場周辺にどのような影響を及ぼすかだ。淵田代表はこうした動きを受けた上で、さらに来年から「DAZN(ダゾーン)」が10年2100億円で放映権料を取得することも受けて話した。

「体制が盤石になることで、練習環境など設備への投資はしやすくなると思います。もちろん、強化に関わることも視野に入りますが、Jリーグの放映権料の話もありますし、それらも併せて考えながらどう使えるかを考えていくことになります」

 浦和は現在、練習場である大原サッカー場のクラブハウスの増設に取りかかっている。そうしたハード面の設備の充実に加え、選手補強への投資や年俸の増額といった形での強化資金の充実が図られる可能性が高い。また、今後はスケジュールを見て選手たちにも説明がされるという。

 いずれにせよ、浦和の母体は1964年から三菱重工サッカー部だったが、Jリーグ参加を検討するにあたり1990年に三菱自動車サッカー部へと移行した経緯があった。そうした意味では、2つの母体がそれぞれ支え合って経営権の過半数を維持するという結論に至ったことで、クラブ経営に大きな嵐が吹き荒れることはなく、これまでを踏まえた継続的な経営がなされることになりそうだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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