鹿島、4連敗後の選手×サポーターの対立に日本代表OBが見解 「誹謗中傷や暴力になればまた話は別ですけど」

神戸に敗戦後、激しく口論する鈴木優磨とサポーター【写真:徳原隆元】
神戸に敗戦後、激しく口論する鈴木優磨とサポーター【写真:徳原隆元】

【専門家の目|栗原勇蔵】プロである以上「結果が求められる」…サポーターの主張にも理解

 鹿島アントラーズは、4月15日に行われたJ1リーグ第8節ヴィッセル神戸戦で1-5の大敗を喫した。リーグ戦4連敗と厳しい状況下で、試合後にはFW鈴木優磨とファン・サポーターが胸中をぶつけ合うシーンがあったが、現役時代に横浜F・マリノス一筋18年で過ごした元日本代表DF栗原勇蔵氏は、「言い合える関係であるのは素晴らしいこと」と感想を語った。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 ホームの県立カシマサッカースタジアムで神戸に敗れた鹿島。ホームでの5失点は、1995年9月2日のヴェルディ川崎戦(現・東京ヴェルディ/1-5)以来28年ぶりで、リーグ戦4連敗で15位まで後退した。

 試合後にはスタンドのファン・サポーターとキャプテンのFW鈴木が意見を交わすシーンも。「おめーらに気持ちを感じねーんだよ!」と一部のサポーターからは手厳しい一言も浴びせられた。

 試合の翌日、鹿島はクラブ公式ツイッターで「昨日も熱い応援を本当にありがとうございました。次は4/19(水)ルヴァンカップの福岡戦です。平日のアウェイゲームですが、またともに戦ってください。よろしくお願いいたします」と呼びかけた。

 鹿島との対戦経験も豊富な栗原氏は、「サポーターの中にも、かつての優勝を経験している人たちはたくさんいるので、求める水準は必然と高くなる。『そんなところを目指してるチームじゃないだろう』というのも分かる。これはある意味で財産だと思う」と言及。プロである以上、結果を求められるのも当然だという見解を示した。

「もちろん選手は一生懸命やっています。ただ、プロなので当然結果が求められる。ファン・サポーターは負ける試合よりも勝つところを見たいわけで、気持ちが分からないでもないです。傍から見れば、選手とサポーターの言い合いのような形に見えるかもしれないですけど、お互いが真剣に向き合ってるからこその出来事。選手はファン・サポーターがいなければサッカーができないし、選手がいなければ、クラブがなければファン・サポーターも楽しめない。どちらが立場的に上だとか、偉いとかではなく、言い合える関係であるのは、素晴らしいことだと思います」

 歴代最多の優勝回数8回を誇る鹿島は、これまでスタートダッシュができなくても、最終的にタイトルを獲得したシーズンが何度もあったと栗原氏は振り返る。

「鹿島は元々シーズン序盤に調子が上がらず、尻上がりに勢い付いて優勝することは今までにもありました。岩政(大樹)監督や(クラブ・リレーションズ・オフィサーの)中田浩二さんにも経験を還元してもらうしかない。序盤戦で結果が出ないからと言って、ダメだとすぐに(監督を)解任するのは何も得るものがなくなってしまう。最低、シーズンの半分は任せないといけないのかなと個人的には思います。誹謗中傷や暴力になればまた話は別ですけど、ああいう檄があるから選手もやる気がもっと出るし、モチベーションになる。何くそって思いで、また次に力を発揮できる。サポーターもあそこまで言ったのだから、責任を持って応援してくれるのではないでしょうか」

 4月19日に行われるルヴァンカップのグループステージ第4節アビスパ福岡戦以降、鹿島はチームを立て直すことができるだろうか。

栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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