浦和FW興梠、古巣対戦でPKキッカーを務めた背景 決まりを破ってまで通したかったこと「監督には怒られました」

浦和の興梠慎三【写真:Getty Images】
浦和の興梠慎三【写真:Getty Images】

PKキッカー担当のショルツへ「蹴りたい」と伝えた理由「もう一度味わいたかった」

 浦和レッズのFW興梠慎三は4月15日のJ1リーグ第8節、北海道コンサドーレ札幌戦でペナルティーキック(PK)によるゴールで4-1の勝利に貢献した。昨季に期限付き移籍した古巣との対戦でのPKは、本来ではキッカーの予定ではなかったものだったが「あの雰囲気をもう一度、味わいたかった」と話した。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 興梠は2013年に鹿島アントラーズから浦和に移籍。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の攻撃的なサッカーの1トップで浦和のエースとして君臨した。しかし、2020年最終戦での負傷で翌年に出遅れて出場機会を減らすと、昨季は恩師ペトロヴィッチ監督が就任していた札幌へと期限付き移籍して1シーズンをプレー。そして今季に浦和へ復帰していた。

 まず興梠がチームにアドバンテージをもたらしたのは前半35分、札幌のDF中村桐耶との駆け引きで内側に切れ込むと決定的な得点機会の阻止になるファウルを誘発。これで中村は退場になり、浦和は数的優位を得た。興梠は中村に対し「僕からアドバイスするのも変だけど、あの対応はダメ。飛び込むのではなく遅らせないと。結果、退場になっているので。でも、聞く耳を持ってくれたし、これを機に成長してほしい」と対戦した22歳の若手DFを気遣った。

 そして数的優位を得た浦和がDFアレクサンダー・ショルツのゴールで先制して迎えた後半33分、ペナルティーエリア内で興梠が放ったシュートを札幌MF青木亮太がブロックしたプレーがビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)からハンドの反則があったと進言があり、オンフィールドレビューの末にPK判定になった。

 今季のキッカーはショルツに決まっている。興梠がPKを獲得した第3節のセレッソ大阪戦では、すぐにボールを渡していた。しかし、この日は興梠がショルツに「蹴りたい」と伝えた。ショルツもまた「慎三に言われたら断れない」と冗談めかしつつ「今日の慎三は、絶対に入れてくれると感じた」とキッカーを託した。そして、ゴール左に冷静に決めてリードを広げている。もっとも興梠は「(マチェイ・スコルジャ)監督には怒られました。チームの決まり事なので守らなければいけないんですが」と、指揮官から一言あったことも明かした。

 それだけ、この日のPKは自分で蹴りたかった。その理由に古巣札幌との対戦であること、コロナ禍により制限されていた声出し応援の復活した埼玉スタジアムでプレーするのが久しぶりだったことを挙げ、「やっぱり浦和は凄いと感じて、サポーターに支えられている。埼スタであの雰囲気。PKは時が止まる瞬間だし、全員に注目されている中で蹴るPKは気持ちいいものがある。改めてまた、過去には自分がPKを蹴っていたので、もう一度味わいたかった」とその思いを話した。

 今季のリーグ戦では3月31日の柏レイソルに次ぐ2点目だが、ホームでは初ゴール。浦和のJ1最多得点記録も保持している興梠のゴールは、昨年末から芝生の全面張替えも含む改修を行った後の初ゲームとなった本拠地の埼玉スタジアムにも花を添えた。

page1 page2 page3

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング