元Jリーグ主審・家本氏が選ぶ“凄い助っ人”3選  元日本代表レジェンド2人の特徴を併せ持つ守護神とは?

家本氏が「凄い助っ人」3人をピックアップ【写真:Getty Images】
家本氏が「凄い助っ人」3人をピックアップ【写真:Getty Images】

【専門家の目|家本政明】さまざまな視点から家本氏が「凄い助っ人」3人を列挙

 日本サッカーは、2022年のカタール・ワールドカップ(W杯)でスペイン、ドイツを破ってベスト16に入るなど、ここ数十年で急激な成長を遂げている。その礎となっているのが、1993年に開幕した日本のプロリーグである「Jリーグ」だ。今年30周年を迎えるJリーグでは、これまでも数々の外国人助っ人が活躍。今回「FOOTBALL ZONE」ではJリーグ助っ人特集として複数コンテンツを展開し、元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏がさまざまな視点から「凄い助っ人」3人を挙げている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)

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 家本氏は、「凄かった助っ人選手は挙げきれないほどたくさんいる」と悩みつつも、「かつて在籍していた選手なら、フッキ、ポンテ、オルンガ、マルキーニョス、パク・チソンあたりが思い浮かぶ」とブラジル代表FWフッキ(アトレチコ・ミネイロ)やすでに引退した元韓国代表FWパク・チソン氏などの名前を挙げた。そして今も活躍している選手では、「イニエスタはベスト・オブ・ベスト。個人的に好きなのはショルツで、ランゲラックも素晴らしい選手」と3人の選手について詳しく語った。

■MFアンドレス・イニエスタ
在籍期間:2018年~現在
在籍クラブ:ヴィッセル神戸

「世界的にも有名な彼は、試合中いつも丁寧に接してくれます。駆け引きも本当に上手い選手。基本的に文句を言われたり、罵られた記憶はないですね。僕が引退前に神戸を担当した最後のゲームでは、試合前の挨拶の時、そして彼が交代して出ていく時にわざわざ僕のところに来て『ありがとう、お疲れ様』と日本語で声を掛けてくれました。試合が終わってフィールドを出る際にも再度握手しに来てくれて、最後サインボールをスタッフ経由で受け取りました。こんな凄い世界的なスーパースターはほかにいないですね。彼と同じフィールドでフットボールを楽しむことができたのは良い思い出です」

■DFアレクサンダー・ショルツ
在籍期間:2021年~現在
在籍クラブ:浦和レッズ

「大好きなのはショルツ選手なんですよね。ほんとに素晴らしい選手。まず当然フィジカルも強いしメンタルも安定している。そしてすごくクレバーだと思う。Jリーグでイエローカードは1枚ももらっていないはずです(Jリーグ公式戦で警告・退場はなし)。僕も出した記憶はないです。ここは行ったほうがいいのか、ダメなのかという判断が的確で、すごく冷静な選手。ディフェンスは情熱はもちろん、冷静な判断がものすごく大事だと個人的には思っています。なかでもショルツ選手は群を抜いて冷静だと感じます。球際は強いし、変にごぼう抜きされたとか、ミスポジションでショルツ選手が関わっていたシーンは見たことがないです。本当に安定している。日本に来たDFの助っ人の中でも間違いなく3本の指に入ると思います。それくらい能力の高い選手です。レフェリーとして活動していた際に、コミュニケーションを頻繁に取ったわけではないですが、人柄の良さも感じていました。本当に好きな選手ですね」

■GKミチェル・ランゲラック
在籍期間:2018年~現在
在籍クラブ:名古屋グランパス

「日本のGKで元日本代表の川口能活氏と楢﨑正剛氏がいましたが、川口氏が“動”、楢﨑氏が“静”の特徴を持つGKだとするなら、ランゲラック選手はその両方の要素を持っていると感じます。動く時と動かない時がはっきりしていて、コーチングも的確です。試合中に味方への指示の声がよく聞こえていました。元々背の大きいランゲラック選手ですが、試合中はもっと大きく感じていました。GKとしての能力が高く、日本にいる外国籍選手では群を抜いていると思います。点を取られる印象がないのは、それなりの能力の高さ、シュートに対するコースの消し方とか、ポジションの良さもあると個人的には感じています。あと、カッコイイですよね(笑)。背が高くて顔も小さい。人柄もいいし、笑顔も素敵な選手です」

(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)

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家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

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