川崎DF、2度の警告→退場、元日本代表FWが疑問「流していいの?」…識者の見解は?
川崎DF車屋紳太郎が2枚のイエローカードを提示されて退場処分
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「ジャッジリプレイ」の最新回が配信され、4月9日のJ1リーグ第7節に行われたガンバ大阪と川崎フロンターレの対戦のワンシーンをピックアップ。川崎DF車屋紳太郎が2枚のイエローカードを提示されて退場処分となった件が議論された。
【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから
まずは後半7分、G大阪のMF杉山直宏がドリブル突破に成功したところを、車屋が背後から手を掛けてファウル。飯田淳平レフェリーがイエローカードを提示した。そして後半15分、G大阪のカウンターになりそうな場面で車屋がMF石毛秀樹にファウル。飯田レフェリーはアドバンテージを採用してプレーを継続させ、その攻撃が切れたところで車屋に2枚目のイエローカードを提示し、退場処分の判定を下した。
ゲスト出演した元日本代表DF水本裕貴氏、同じくゲスト出演した元日本代表FW佐藤寿人氏も、それぞれの判定を支持している。一方で、2つ目のプレーはすでに車屋がイエローカードを1枚提示されていたため、退場処分になるべき選手をピッチに残してアドバンテージを採用した飯田レフェリーの判断について疑問が呈された。水本氏はこれらルールの細かい部分について「おそらく、ほとんどの選手が把握できていないままプレーしているのが現状だと思う」と話し、佐藤氏も「これを見た時に、え?流していいの?と思ったので、僕もその部分を聞きたい」と話した。
元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、まず1枚目のイエローカードについて「警告の理由はSPA(通称スパ/Stopping a Promising Attack/大きなチャンスとなる攻撃の妨害)」としたが、「競技規則にはアドバンテージが採用された場合はイエローカードの対象ではなくなるというルールになった」と説明した。そして、この状況を「アドバンテージが選択されても良かった。ピッチ上の選手の反応も、十分にプレーできる、アドバンテージがある状況と判断している。主審のSPAという認識は良いが、意思決定は待つことができたのではないか。そうなるとSPAという状況が成立しないので、1枚目のイエローカードは注意に下がった」と話す。
2枚目のシーンは「無謀なタックル」、アドバンテージは適用すべきだったのか
2枚目のイエローカードは「SPAでもあり、無謀なタックルとも言える。競技規則はより重いものを罰するとされるので、この場合はSPAよりも無謀なチャレンジが優先されるので、このシーンではイエローカードが確定する」と話す。そして、すでに1枚目のイエローカードが提示されている状態のため、競技規則には明らかな得点機会を除き退場処分の選手が発生する場合はアドバンテージを適用すべきでないとされているガイドラインを紹介した。そして、この場合の「明らかな得点機会というのは、ちょっとボールを触れば明らかにゴールするという状況のみ」と話した。
そのため家本氏は、「悩みながらアドバンテージにした気持ちは理解できる」としたものの、「もし、ファウルをした選手が戻ってPKや退場となった時に懲戒罰の対象が2つになってしまう。勇気を持って止めて、イエローカードとレッドカードを提示するのが適切な判断だったのではないか」と話した。そして、このガイドラインは「大きなリスクを抱えるので、『流すべきではない』としているもの」と家本氏は説明した。
ただし、進行役の桑原学アナウンサーは、飯田レフェリーが車屋と石毛の横を走り抜ける際に何度も確認している状況から、車屋がプレーに参加できない状況を確認して進めたのではないかと指摘した。家本氏は「勇気を持ってリスクを背負ったということ。なので、攻撃のチャンスが消えた段階でレフェリーの意志によりプレーを止め、(カードの提示をしたあとに)ドロップボールで再開した」と、話した。
水本氏は、「僕がガンバの選手であれば、チャンスになる状況が把握できているので(止められたら)なぜ続けさせてくれないか、と思ってしまうかもしれない。このシーンで例えばガンバがゴールして、さらに退場にまでなると、ちょっとと思うかもしれないけど、2枚目というのも把握しているのでアピールもすると思う。主審のほうの判断も難しいと思う」と話した。
家本氏は2枚目のイエローカードに対する判断について、「勇気を持った素晴らしいもの」と話したが、1枚目のカードの判断には疑問を呈して「なぜそんなに焦ってホイッスルを吹いてしまったのか。もう少しプレーをさせて、その先まで見たうえで止めても良かったのではないか」と指摘していた。