2年ぶりに実現する“横浜ダービー” マリノスOBが抱く対決への思い「1つの風物詩になってくれたら…」
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【専門家の目|栗原勇蔵】選手以上にサポーターがダービーを強く意識
4月8日、日産スタジアムでのJ1リーグ第7節で、横浜F・マリノスと横浜FCの“横浜ダービー”が2年ぶりに開催される。現役時代に横浜F・マリノス一筋18年で過ごし、現在はクラブシップ・キャプテンを務める元日本代表DF栗原勇蔵氏に選手とサポーターのプライドがぶつかり合う“ダービーマッチ”の思い出を訊いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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横浜ダービーが初めて実現したのは、横浜FCがクラブ史上初めてJ1に昇格した2007年だった。三ツ沢球技場で行われたリーグ第2節の初激突は、横浜FCがDF早川知伸(現・松本山雅FCコーチ)のゴールで1-0と先勝。同年8月に日産スタジアムで行われた第19節の第2ラウンドは、F・マリノスが8-1と圧勝して力の差を見せつけた。
元日本代表DF栗原氏は、ホームでの一戦でDF松田直樹に代わって後半22分から途中出場。「横浜ダービー初年度ということでかなり盛り上がっていました」と振り返る。
「僕はインフルエンザで初対決に出られなかったんです。当時の早野(宏史)監督には、『お前がいなかったから負けた』と冗談で言われました(笑)。昇格組のチームに先勝された悔しさは選手たちには当然あって、たくさんのサポーターが駆け付けた日産スタジアム(公式記録は入場者5万3916人)では、FW大島(秀夫)さんが4点取ったり、8-1と完膚なきまでに叩き潰したイメージが残っています」

2008~19年の間はF・マリノスがJ1、横浜FCがJ2所属とカテゴリーが違う時期が続いたため、栗原氏が現役時代に横浜ダービーを経験したのは1回のみ。2012年の天皇杯3回戦は日本代表の欧州遠征で不在、18年と19年の天皇杯3回戦はベンチ入りするも出番はなかった。
2020年は1勝1敗、翌21年はF・マリノスの1勝1分と、ここまでの公式戦における直接対決はF・マリノスの6勝1分2敗。栗原氏は、今後に横浜ダービーの歴史が積み重ねられていき、より重みを増していくことを望む。
「横浜ダービーは、フリューゲルスのような歴史もあって、選手以上にサポーターが強く意識している印象があります。横浜FCがJ1を離れている時期が長く、少しダービー熱が落ち着いてしまった感は否めませんが、両者の実力が肉薄し、1つの風物詩のような盛り上がりを見せるまでになってくれたらいいなと思います」
2年ぶりの横浜ダービーの見どころの1つに、栗原氏は「サイドの攻防」を挙げた。
「F・マリノスとしては、エウベル、水沼宏太あたりがどれだけ仕事をできるか。サイドの攻防が勝敗を分けるポイントになると思います。横浜FCから見たら、相手のサイド攻撃を抑えたうえで、どういう形でゴールまで持っていくか。F・マリノスがサイドを制したら一方的な展開になる可能性が高いし。横浜FCはそこを抑えることができれば得点力のある小川航基がいるのでチャンスはあるかなと思います」
プライドがぶつかり合う“ダービーマッチ”の歴史が、またここから紡がれていく。
(FOOTBALL ZONE編集部)
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栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。DF松田直樹、DF中澤佑二らの下でセンターバックとしての能力を磨き、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退後、横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動。