チェルシーの「残酷な解任」 ポッター監督の処遇に英公共放送が言及「ブライトンとはかけ離れた世界だった」
シーズン途中就任も半年でロンドンを離れることに
イングランド1部チェルシーは現地時間4月2日、今季途中就任のグレアム・ポッター監督の解任を発表した。英公共放送「BBC」は「残酷な解任」「ブライトンとはかけ離れた世界だった」と、ポッター監督の処遇について報じている。
ポッター監督は昨季、イングランド1部ブライトンをクラブ歴代最高位の9位に導き、その手腕は国内でも高く評価されていた。昨年9月に解任されたトーマス・トゥヘル元監督(現バイエルン・ミュンヘン)の後任としてチェルシーにやってきたが、思うような結果は残せず、およそ半年間でロンドンを去ることが決まった。
ポッター監督がチェルシーを率いた31試合での成績は12勝8分11敗。データ分析会社「オプタ」によれば、1試合あたりの平均勝ち点は「1.27」で、20試合以上を指揮した監督としてはグレン・ホドル氏に並ぶクラブ歴代ワーストの記録だったという。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)では準々決勝へと駒を進めているものの、プレミアリーグ11位に沈み、来季の欧州カップ戦出場件獲得も絶望的な状況だった。
ブライトンでの成功からステップアップを果たしたはずが、まさかの急転落。英公共放送「BBC」は「チェルシーによるグレアム・ポッターの残酷な解任は、オーナーのトッド・ベーリーによるカオスな支配の中で起こった新たな歪みだ」と、この監督人事について報じている。
新オーナー陣の下でチェルシーは直近2つの移籍市場で計6億ポンド(約981億円)を投じるなど派手な動きを見せてきたが、結果にはつながらなかった。ブライトンという限られた戦力しかないクラブを率いて結果を出したポッター監督にとって、チェルシーでの指揮は全くの“異世界”での仕事だったようだ。「BBC」は次のように指摘していた。
「ポッターにとって(チェルシーは)ファンタジーフットボールのように思えたかもしれない。ブライトンとはかけ離れた世界だった。彼は結束の強いグループでの仕事に慣れていた。そのあとですべての新戦力を受け入れるプランを見つけるのに苦労していた」
ポッター監督は実績豊富なエリート指揮官がチームを率いることに慣れていたチェルシーサポーターから受け入れられず、一部選手からも不満の声が挙がっていたとも伝えられている。ブライトンで見せた輝かしい手腕を発揮した指揮官はスタンフォード・ブリッジの環境に馴染むことができず、無念の退任となった。