興梠慎三は「浦和の将軍と言ってもいい」 スコルジャ監督が感じるベテランへの信頼感
柏戦で今季初ゴールをマーク
浦和レッズのFW興梠慎三が、3月31日のJ1第6節で柏レイソルと対戦したゲームの前半44分に先制ゴールを決めた。これがJ1歴代トップタイとなる17年連続ゴールとなり、浦和では2021年6月以来のゴール。マチェイ・スコルジャ監督は、「浦和の将軍と言ってもいい」と、全幅の信頼を語った。
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0-0で迎えた前半44分、浦和は最終ラインからの攻撃を左サイドに展開。MF関根貴大が縦に突破してマイナスのクロスが入ると、左足でボールを止めて相手のタイミングを外しつつ反転し、さらに上体でキックフェイントも入れて相手GKを倒させた後に冷静に流し込んだ。ストライカーとしての技術が詰まった一撃は、鹿島アントラーズで同僚だった元日本代表MF小笠原満男氏に並ぶJ1での17年連続ゴールとなり、昨季に北海道コンサドーレ札幌に期限付き移籍していたことを踏まえ、浦和では2021年6月6日のヴィッセル神戸戦以来となる得点になった。
この場面で興梠には、背後から走ってくるDF酒井宏樹の「スルー」という声も聞こえていたという。それでも「自分が得意なところにもっていければゴールできるという感覚があったので、今日はどん欲にいかせてもらいました。あそこで打ったら相手ディフェンスに当たるなと思ったのでワンフェイントを入れたんですけど、良いコースに飛んでいきましたね」と、笑顔だった。
興梠は宮崎県の鵬翔高校から2005年に鹿島入り。07年にJ1初ゴールを決めた。そして13年に浦和へ移籍すると、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が率いたチームの1トップに定着して得点を量産。浦和のクラブ史上J1最多ゴールも更新して「浦和のエース」と認識されてきたが、20年の最終戦で負傷したことで翌年に出遅れる。21年はリカルド・ロドリゲス監督の指揮下で出場機会を大きく減らし、昨季はペトロヴィッチ監督が率いる札幌へと期限付き移籍。そして今季、スコルジャ監督が就任した浦和へと復帰した。
開幕2連敗となった浦和はFWブライアン・リンセンがスタメン出場をしていたが、第3節のセレッソ大阪戦から興梠がスタメンに入ると攻撃のリズムが良くなり4連勝。その間にリンセンもスペースの空いてくる時間帯の途中出場で調子を取り戻しつつある。C大阪戦では自身が獲得したペナルティーキック(PK)を譲ったが「最初のゴールがPKというのは自分の中ではあまりという感じだった」とも話す。13年の浦和加入時はなかなか1点目が入らず、チームメートから譲ってもらったPKを焦り気味に蹴って失敗。そうした後に決めた流れの中からのファーストゴールで勢いに乗った。そんな記憶もあったのかもしれない。
スコルジャ監督は「興梠は浦和の将軍と言ってもいい。本日もいい仕事をしたが、日々のトレーニングでもハードワークを見せている。相手が3バックだったのでハイプレスをはめるのが難しい試合だった。でも、彼は常に準備をしていて高いレベルのプレーを見せてくれたと思う。いかなる状況でも慎三は周りに信頼されている。今シーズンのファーストゴールが生まれたが、最後のゴールにはならないはずだ」と語った。
その将軍という表現には「どうことですかね」と苦笑したストライカーだが、「気持ちに余裕が出来るとFWは点が取れると思うので、焦らず今までもやってきましたけど、ここからも余裕をもってできるのかな」と話す。そして「マチェイ監督はすごく今まで出会った監督の中でも良い監督だと思います。選手を平等に見てくれますし、あのような人には結果で恩返ししたい。チームが4連勝できているのもみんな監督への思いがあるからこそだと思うし、このチームで勝ちたいという気持ちがあれば、内容が悪くても1-0でも勝てると思いますので、そういう意味では良いチームに仕上がってきているのかな」と話した。
帰ってきたエースだが、ゴールを決めてこそ本当の「お帰りなさい」だろう。36歳となりキャリアの終盤を意識した言葉を残している興梠だが、まだまだゴールを重ねる姿を見られそうだ。