「新鮮な感じ」「楽しい」と選手が充実感 浦和が4連勝を飾った背景…前監督のベースを生かした自由度の高いサッカー
浦和MF小泉が明かす現状のチーム状況「去年までと似たサッカーをすることで積み重なっている」
浦和レッズは3月31日のJ1リーグ第6節の柏レイソル戦で3-0の勝利。2017年4月以来のJ1リーグ4連勝となった。マチェイ・スコルジャ監督は「浦和の選手1人1人にリスペクトを感じている。非常に高い強度で良いプレーをしてくれた」と話すが、選手たちもまた大きな手応えを感じている。
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浦和は立ち上がり1分でMF小泉佳穂がゴールポスト直撃のミドルを放つも、そこからはなかなかボールを前に運べず苦しんだ。しかし、ここで浦和のピッチ上の頭脳が動く。2列目の小泉とボランチのMF岩尾憲がポジションを動かし、相手2トップに対して岩尾とセンターバック2人で3バック化して数的優位を作り、小泉がボランチのラインに下がって両サイドバックを高く上げる「3-2-5」の形に変更して、ボール運びが安定した。
岩尾は「相手が2トップなので僕が降りるのもプランにあったけれども、GKの西川(周作)選手も入れて3人でいけるなら下がらなくていいと思っていた。ただ、少しセンターバックが運んだ後にノッキングしていたので僕が下がることで前の選手にスペースを与えた方がいいかなと思った。そこで相手も戸惑っていたので良かったと思う」と話す。
また、小泉も「相手のマテウス・サヴィオ選手と戸嶋選手の間のスペースを使えれば少し優位な立ち位置を作れるので、そこで受けるのが今日の役割だと割と早く気づいて実行できた。試合をしながら相手の嫌がることを見つけられたのはチームとしても個人としても成長だと思う。3-2-5の方がいいかなとなった後に、僕が中にいるよりも相手の中盤の横を取るのがいいと感じた。どこに引きつけられていて、どこにスペースがあるかを把握しながら試合ができているのでサッカーが楽しい」と話した。
昨季まで2シーズン、浦和はリカルド・ロドリゲス監督の指揮下でポジショナルプレーと呼ばれる立ち位置を大事にしながらボールを運んでいく戦術に取り組んだ。3-2-5に変化する立ち位置も経験してきたことだが、スコルジャ監督になっての違いと、ロドリゲス監督の2シーズンからチームに残るものを小泉はこう話している。
「練習で色々なパターンや引き出しをやって、それを監督が提示してくれる。その中で自分たちがどう選ぶかは1週間の準備もあるし、今までの引き出し、去年までの引き出しもある。そういう中で、ピッチでどれが使えるのか見ながらできているのは今までにない新鮮な感じで、僕だけでなく岩尾選手とも調節しながらやっているので、その存在も大きい。立ち位置や引き出しもあるし、それをよりよく使うための個人戦術も、去年までと似たサッカーをすることで積み重なっている。相手と周りを見ながらプレーするのは立ち位置だけでなく個人戦術もあるので、それがマッチしてきている手応えがありますね」
試合前からの提示や試合中の指示など、どちらかと言えば「こうやろう」とハッキリしていたロドリゲス監督と、選択肢を与えてピッチ上で選手が選んでいくことを良しとするスコルジャ監督にはちょっとしたアプローチの違いもある。指揮官は「浦和の選手1人1人にリスペクトを感じている。非常に高い強度で良いプレーをしてくれた。全員がハードワークをした。ビルドアップのところ、どういうところにスペースが生まれているのかと話した。あとは焦れずにボールをキープしようと伝えた」と話した。
これで6試合を終えて4勝2敗の勝ち点「12」に伸び、J1ではミハイロ・ペトロヴィッチ監督が指揮していた2017年以来の4連勝で暫定2位に浮上した。昨季からのものをブラッシュアップしつつ、さらに守備面では昨季以上の組織的なプレスやブロック形成が進んでいるスコルジャ体制の浦和だけに、ここ数シーズンの中位に定着してしまう状況を打破していけそうな気配が漂っている。