香川、ゲッツェ、シャヒン… ドルトムントを去った名手が歩んだ道を「推定市場価格」で検証

“裏切り”も順風満帆なステップに見えたが…

 香川のような“出戻り移籍”が目立つ近年、最も大きな論争を引き起こしたのがドイツ代表MFマリオ・ゲッツェだろう。2013年4月、シーズンも佳境の時期にゲッツェは突如として移籍を発表した。下部組織出身でクラブの至宝として愛されていた男が、新天地として選んだのは宿敵バイエルン・ミュンヘン。ドルトムントへの愛情を公言しながら、“裏切りの移籍”を決めたゲッツェに対してサポーターは怒り心頭。スタンドから容赦なくブーイングを浴びせたことは記憶に新しい。

 ドイツサッカー界「最高の才能」との呼び声も高いゲッツェは、バイエルンに活躍の場を求め、そこでプレーした3シーズンはいずれもブンデスリーガを制覇した。DFBポカールを2度制し、FIFAクラブワールドカップやUEFAスーパーカップでもチャンピオンに輝いた。さらにドイツ代表の一員としても、14年ブラジル・ワールドカップではアルゼンチンとの決勝で優勝決定を手繰り寄せるゴールを決めて、母国を栄光に導くヒーローになった。

 順風満帆に映るステップアップを果たした一方で、ジョゼップ・グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ監督)が率いるバイエルンでは、徐々にスタメン出場の機会を失い始めていた。特に15-16シーズンは代表で不動のレギュラー、クラブでは控えという対照的なゲッツェの姿を見る機会が増えていった。

 そして今夏、主力の大量放出を余儀なくされたドルトムントは“裏切り者”へ復帰を打診し、出戻り移籍が成立した。

 

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