浦和初スタメンで示した“安心感” ビッグセーブ連発のGK牲川が語る環境への感謝「すごく刺激的」
ルヴァン杯の清水戦で2つのビッグセーブ、1-1のドローに貢献
浦和レッズのGK牲川歩見は、3月26日のルヴァンカップ(杯)第2戦の清水エスパルス戦で昨季の浦和移籍加入から初スタメン。1-1の引き分けに終わった試合だったが、後半には2つのビッグセーブも見せた。
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牲川は2011年にU-17W杯の日本代表に選出されるなど期待の大きな195センチの長身GKだったが、プロのキャリアではなかなか出場機会をつかめず苦しんだ。2017年に当時J2のザスパクサツ群馬で出場機会を得ると、翌年から2シーズンはJ3アスルクラロ沼津で経験を積み、19年から2シーズンJ2水戸ホーリーホックで活躍。そして、昨季から浦和へと完全移籍していた。
浦和では理論派のジョアン・ミレッGKコーチの下でトレーニングを重ねた。牲川は昨年7月のフランスの強豪パリ・サンジェルマン(PSG)との国際親善試合、11月にドイツの名門フランクフルトとの国際親善試合で出場機会を得て、「浦和に来た意義を感じた」と話していた。公式戦の出場機会はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージの最終戦で途中交代から約30分プレーしたのみだったため、結果的に他国のチームとの対戦経験を積む形だった。
このルヴァン杯では開幕戦をGK鈴木彩艶がプレーしたが、U-22日本代表に選出され不在。そこで、マチェイ・スコルジャ監督は試合前の記者会見で牲川のスタメンを予告していた。
前半はインプレー中に手でボールを扱う機会が訪れないほどの浦和ペースだったが、相手プレスを回避するためのバックパスを受けては左右に散らして攻撃の起点になった。自身も「練習からの取り組みを意識しながらやろうという所、しっかりプレーを分析しながらやろうという所で落ち着いてプレーができた」と振り返った。
一方で後半半ばを過ぎたあたりから清水ペースになる時間帯があり、FWベンジャミン・コロリに豪快な同点ゴールを奪われてしまった。しかし、相手FW北川航也のダイビングヘッドを弾き出せば、終了間際には北川との1対1をセーブ。ミレッGKコーチと繰り返してきたトレーニングの形でチームが敗戦に陥る危機を救った。
牲川は「自分が想定内のボールが飛んできてくれた部分と、練習の所でやっている部分で意識付けされているものが出せたのが一番大きいかと思う。プレー自体は100%出すように意識してやっていたし、今回100%でやったからこそ、出た課題もすごくあると思うので、そこをしっかりと反省をして次の成長に向けて、練習をしていきたい」と試合に出場したことの意義を話す。
浦和ではGK西川周作と鈴木の日本代表キャップを持つ2人が所属するだけに競争は厳しいが「逆に言うと練習から日本代表クラスのGKと練習できている環境は僕にとってすごく刺激的な部分ですし、練習の中で高いプレーを見ながら参考になるプレーをしてくれる。自分のプレーにも落とし込みやすいという部分で、すごく良い環境でやれているからこそ実戦でプレーをした時に落ち着いてできると感じる」と、環境のプラス面も語った。
195センチの大型GKは理論派GKコーチの下で着実に実力を伸ばしている。次の出場チャンスがいつ訪れるか分からないのが1つしかポジションのないGKの厳しさだが、いつでも安心して起用できるGKが浦和にいることを示したゲームになった。