森保ジャパン、コロンビア戦で考えられる“次の1手” トレーニングで見せた両SBの異なる姿…鍵はメンバー構成か
【識者コラム】26日の練習ではSBがオーバーラップをするシーンも
3月26日、日本代表は冒頭15分だけを公開する予定でトレーニングを行った。
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だが、森保一監督は公開時間を大幅に延長し、結局30分だけを非公開に。そのため、今後の森保ジャパンを占うトレーニング内容も見ることができた。
第2次森保ジャパンの初戦となったウルグアイ戦はボール保持率が相手を上回ったものの、なかなか効果的なパス交換が出来ず、決定機の数はむしろウルグアイのほうが多かった。
混乱の原因はサイドバック(SB)がインサイドに入るという4バックのオプションを試したこと。鎌田大地が「いいところよりも、自分たちが改善すべきところ、課題がすごい多くあった試合だった」と振り返るほど混乱した。
それでも鎌田は「トレーニングをうまく回数重ねたらもっと変わってくると思う。1試合目なんで仕方ない」と楽観的に述べた。
ところがこの日のトレーニングで公開されたのは、前回SBがパスを出そうとしていたポジションをセンターバックが務め、SBがオーバーラップやインナーラップをする形で、明らかにウルグアイ戦の戦い方とは違っていた。
もう1つ目に付いたのは、ウルグアイ戦の先発メンバーは自分で負荷を調整して良かったこと。そのため先発組は早く室内に戻っていた。そして先発していなかった選手はしっかりと追い込んでいた。
以上から考えられる、森保監督の次の手は4つある。
(1)ウルグアイ戦と同じ先発メンバー。サイドバックを突破で使うのは練習のみ。コロンビア戦ではウルグアイ戦と同じ戦術を使う
(2)ウルグアイ戦から先発メンバーを大幅入れ替え。サイドバックを突破で使うのは練習のみ。コロンビア戦ではウルグアイ戦と同じ戦術を使う
(3)ウルグアイ戦と同じ先発メンバー。コロンビア戦ではサイドバックを突破に使い、ウルグアイ戦とは戦術を変える
(4)ウルグアイ戦から先発メンバーを大幅入れ替え。コロンビア戦ではサイドバックを突破に使い、ウルグアイ戦とは戦術を変える
(1)は、先発の選手はサイドバックを中に入れる戦術への理解を深めることができ、(2)はチーム全体でサイドバックを中に入れる戦術への理解を深めることができる。(3)は、先発の選手はウルグアイ戦とは別のオプションについても頭に入れることが可能だ。(4)は、チーム全体でウルグアイ戦とは別のオプションについて頭に入れられる。
それぞれの利点とリスクを考え、最も有効なのは…
クラブチームならば、間違いなく(1)「ウルグアイ戦と同じ先発メンバーで同じ戦術」だろう。だが代表チームならばこの案に限らない。
なぜなら代表チームは毎回招集するメンバーが違うからだ。そのため、もしもコロンビア戦でサイドバックをインサイドに入れる戦い方をしてうまくいったとしても、次の招集時のチームでうまくいくとは限らないのだ。だから(2)「メンバーを大幅入れ替えして同じ戦術」がとてもいいように思えても、メンバーが変わっていくなかで成功するとは限らない。
(3)の「同じ先発メンバーで戦術を変える」はメンバー層を厚くしなければいけない時期の今には非現実的だ。しかし(4)「メンバーを大幅入れ替えし戦術を変える」は戦術の完成度は低くなるかもしれないが、採用される可能性は否定できない。
監督が狙っている戦術のオプションを1度の合宿でいくつも説明して、選手の頭に入れておいた方がいいことも考えられる。1回で全体像を説明されておけば、たとえば今回招集されたが次の招集に負傷で応じられず、さらにその次に来たときには別の戦術を試していて理解が難しかった、ということを防ぐことができる。
11月には2026年ワールドカップ(W杯)予選が始まることを考えると、今は素早くチームを熟成させたいかもしれない。だが、W杯のアジア枠が大幅に増えて、日本の予選敗退があまり考えられなくなったため、今は選手層とオプションの数を増やしたいとも考えられる。もしも後者を森保監督が想定したら、(4)「メンバーを大幅入れ替えし戦術を変える」もある。
そしてこの日のトレーニングでは、先発メンバーを大幅に入れ替え、戦術も変えてくる(4)「メンバーを大幅入れ替えし戦術を変える」を示唆した内容がたくさん見えてきたのだ――。
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。