【専門家の目｜金田喜稔】途中出場のMF西村拓真が「戦う姿を一番見せた」

　3月24日に国立競技場で行われたキリンチャレンジカップで、森保一監督の率いる日本代表（FIFAランキング20位）はウルグアイ代表（同16位）と1-1で引き分けた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、MF西村拓真（横浜F・マリノス）について「最大の収穫であり、救いだった」「西村のようなプレーや覚悟が日本代表のベースにならなければ…」と賛辞を送っている。（取材・構成＝FOOTBALL ZONE編集部）

　　　◇　　　◇　　　◇

　第2次森保ジャパンの“第1号ゴール”を叩き込んだのは西村だった。MFフェデリコ・バルベルデに先制ゴールを奪われたなか、西村が後半29分から途中出場。直後の同30分に右サイドからMF伊東純也がクロスを送り、中央に走り込んだ西村がファーストタッチで同点ゴールを流し込んだ。

　昨年のカタール・ワールドカップ（W杯）で日本代表から落選した西村は、自身の置かれた立場を自覚している。試合後、「まだまだ正直、W杯組との差は大きいし、僕たちがもっとギラギラして結果を出して脅かさないとレベルアップにつながらない。アピールという認識はないけど、チームが勝つために自分の存在価値を示して新しい風を起こしたい」と力を込めた。

　そんな西村の戦う姿勢を絶賛したのが金田氏だ。「W杯本番のように自分でメンタルをコントロールし、与えられた時間の中で最善を尽くした。今日戦う姿を一番見せたのは西村だ。攻撃に絡む姿勢や身体の張った粘り強さが際立ったし、最後まで攻守両面で魂を込めてプレーしていた」と評し、人生を懸けたW杯と同等の凄みをこの日の西村に感じたという。

「親善試合とはいえ、魂のこもったプレーをベースにしなければいけない。この日の選手たちがサボっていたということではないが、実際、W杯本番では日本代表の誰もが魂のこもったプレーをしていた。ウルグアイ戦でW杯のような鬼気迫るプレーをしていたのが西村だったということだ」

「西村の気迫、西村の運動量、西村の積極性」を日本代表のベースに

　自ら「ギラギラ」と口にした西村の思いはプレーに凝縮されていた。「西村の出場した時間は15分程度だったが、与えたインパクトは誰よりも大きかった。今日のゲームの最大の収穫であり、救いだった」と金田氏は高い評価を与え、日本代表の“新基準”を説く。

「W杯に選ばれなかった悔しさも当然あるはずだが、すべてのプレーに魂がこもっている印象を受けた。西村の気迫、西村の運動量、西村の積極性……あのプレーや覚悟が日本代表のベースにならなければ、W杯ベスト8以上にはいけないと思う」

　今月28日にヨドコウ桜スタジアムでコロンビア代表と対戦する森保ジャパン。24日の韓国代表戦で2-2と撃ち合いを演じたコロンビアをホームで迎え撃つなか、金田氏は「魂のこもったプレーで観客を沸かせてほしい」と次戦に期待を寄せていた。