新生・森保ジャパンのトップ下“新候補”「貴重な存在」 日本代表OBが絶賛「あの勝負強さは大事」
【専門家の目|栗原勇蔵】ウルグアイ戦で同点弾の西村が見せたトップ下への適性
森保一監督率いる日本代表は3月24日、昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)後初となる国際親善試合でウルグアイ代表と対戦し、1-1の引き分けに終わった。元日本代表DF栗原勇蔵氏は、途中出場から同点ゴールを奪ったMF西村拓真(横浜F・マリノス)のトップ下適正に太鼓判を押している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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序盤から果敢にゴールに迫った日本だったが、前半38分にスペインの強豪レアル・マドリードでプレーする24歳のMFフェデリコ・バルベルデに先制点を奪われた。0-1と劣勢のなか、日本は後半途中からMF伊東純也(スタッド・ランス)、FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)、MF田中碧(デュッセルドルフ)、西村を次々と投入して反撃に出ると、同30分に右サイドの伊東のクロスからゴール前に走り込んだ西村が合わせて同点弾を流し込んだ。
栗原氏はスタメン起用でトップ下として後半29分までプレーしたMF鎌田大地(フランクフルト)に関して、「今日はほとんど良さが出せず、出ていたのかなというくらい」と機能不全を指摘したうえで、代わってピッチに立った西村の適正について見解を述べる。
「このシステムのトップ下には機動力が求められる。西村、田中碧、守田英正のようなタイプが機能する気がします。特に、西村は足を止めず常に動いていて、走行距離にそれが如実に表れています(J1リーグ第2節浦和レッズ戦で今季トップの14.38kmの走行距離を記録)。動いているから反応も早く、ボールがこぼれてくるから点を取れる。いくら上手くても、足を止めている選手は点を取れないし、守備もできない。西村にとってはすごくやりやすかったと思います」
森保ジャパンのサイドには伊東やMF三笘薫(ブライトン)のようなドリブル突破を武器とする選手が多い分、西村のような前線にも顔を出せる選手がより生きると栗原氏は語る。
「サイドがスピードで突破していくので、どうしても中の攻撃が薄くなってしまいがちです。だから、今の代表のトップ下はおとりになれて、2列目から出てきてシュートを打てる選手がいい。ゴールシーンなんて本当にドンピシャで、迷いなくあそこ(ゴール中央)に突っ込んでいけた。簡単そうに見えますけど、ファーストタッチできっちりと仕留めているわけで、あの勝負強さは今後代表に定着していくうえではすごく大事。貴重な存在だと思います」
西村が森保ジャパンの新たなトップ下として名乗りを上げた。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。