バルサも注目逸材、“絶滅危惧種”レフティー…今後ブレイクしそうな“天才予備軍”10選
【識者コラム】バルサから誘いを受けた西川潤をはじめ、天才候補生を10人厳選
サッカー界では、数々の「天才」が歴史を彩ってきた。「FOOTBALL ZONE」では、天才をテーマに特集。これからブレイクしそうな“天才予備軍”にスポットライトを当てた。
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■西川潤(サガン鳥栖/MF/21歳)
今季J1成績:3試合・0得点0アシスト
”天才レフティー”という表現がぴったりのタレント。柔らかいボールタッチはトップギアでもブレることがない。間接視野が広く、縦の突破を狙うと見せかけてフリーになった味方に絶品のラストパスを通すなど、前向きな打開の選択肢が豊富だ。また、狭いところで縦パスを引き出して前を向くなど、受け手としても重要な存在だ。スペイン1部FCバルセロナから誘いを受けたこともある逸材だが、鳥栖での活躍次第で世界の道も開けてくる。
■井上潮音(横浜FC/MF/25歳)
今季J1成績:3試合・0得点0アシスト
ジュニア年代から東京ヴェルディのアカデミーでスキルを磨き、繊細なテクニックを状況に応じて発揮する。コンタクトに特別強いわけではないが、狭い局面でもしなやかな身のこなしと左右のボールコントロールを駆使して、身体に触れさせない。チーム戦術の中に個人の感性を組み込むのが上手く、周りを輝かせることで自分も共鳴できる。
■伊藤涼太郎(アルビレックス新潟/MF/25歳)
今季J1成績:4試合・2得点2アシスト
今Jリーグでも、ボールを持ったら一番怖いタレントの1人だろう。ワンタッチ、ツータッチ、ドリブルと自由自在で、目の前のディフェンスだけでなく、その先まで惑わせるような揺さぶりから、技巧的にミドルシュートやラストパスを繰り出す。ボランチやウイングもこなすが、今季の新潟では創造性をダイレクトに発揮できる4-2-3-1のトップ下が“ハマりポジション”になっている。
■平川怜(ロアッソ熊本/MF/22歳)
今季J2成績:4試合・1得点1アシスト
多彩なパス&ムーブを駆使してディフェンスを崩す大木武監督のスタイルで、極めて重要なピースとして、攻撃の中軸に君臨。常にルックアップしながら左右の足でボールを操り、スペースに動き出す味方を逃さない。単独で突破するタイプではないが、一瞬でも隙が生じれば遠目からシュートを決めることもできる。FC東京アカデミーの同僚でもある久保建英(レアル・ソシエダ)も認めた才能が、熊本で花開いている。
■針谷岳晃(ジュビロ磐田/MF/24歳)
今季J2成績:4試合・0得点0アシスト
中盤で自在にボールを動かしながら、アタッカー陣を前向きにさせるプレーメーカー。天才的なテクニックやセンスは高卒ルーキーの当時から備えていたが、2年半在籍したギラヴァンツ北九州で心身両面の逞しさを得て、再建を目指すジュビロに帰ってきた。敵と味方を見ながら、状況に応じた最適解を見出せるタレントであり、百戦錬磨のクリエイターである遠藤保仁とも感性を響き合わせることで、相乗効果が生まれている。
水戸MF武田英寿は「前向きにボールを持てば何かが起こる」
■横山暁之(藤枝MYFC/MF/25歳)
今季J2成績:4試合・1得点1アシスト
相手ディフェンスにとって嫌らしい立ち位置を取りながら、多角的に崩していく藤枝のスタイルで、コンビネーションの要でありながら、個人でも違いを生み出せてゴールに迫る。東京ヴェルディのアカデミー出身で、技術的なベースは元々あったが、フィジカル面や判断スピードを改善したことで、攻撃のキーマンに成長。昨シーズンはJ3で13得点8アシストを記録し、さらなる飛躍が期待される。
■武田英寿(水戸ホーリーホック/MF/21歳)
今季J2成績:4試合・1得点0アシスト
敵陣のどのエリアであろうと、前向きにボールを持てば何かが起こる”絶滅危惧種”のレフティー。局面を独力で打開できるアタッカーでありながら、クリエイティブな味方とはコンビネーションで破壊力を高めることができる。チームでの戦術タスクが多いほど、個性が埋没してしまう課題はあるが、攻撃センスと左足のキックはJ1の基準でも非凡なものがあるだけに、多くのタレントを育てた水戸で飛躍的な成長を遂げるか。
■長谷川元基(ヴァンフォーレ甲府/MF/24歳)
今季J2成績:4試合・1得点1アシスト
天皇杯で優勝を果たし、アジアの扉を開いた甲府の10番。法政大では上田綺世(セルクル・ブルージュ)ともホットラインを築いた選手で、2列目からスルーパス、ドリブル、シュートのすべてで相手ゴールを脅かす。ひらめきを武器とするファンタジスタでありながら、可変システムなどにも適応するなど、チーム戦術にも幅広くフィットできる機能性も併せ持つ、ハイブリッドなタレントだ。
■菊井悠介(松本山雅FC/FW/23歳)
今季J3成績:2試合・0得点0アシスト
高度なボールテクニックを幅広く生かせるタレントで、多彩なキックの持ち主。オンはもちろん、オフのポジショニングでも優位性を作り出して、周りの味方を生かし、自分も生かされる。霜田正浩監督の掲げる前向きなサッカーによって、より攻撃にエネルギーをかけられるようになった。背番号は15だが、J3優勝を目指すチームの“10番”として10得点10アシストは現実目標だ。
■米澤令衣(鹿児島ユナイテッド/FW/26歳)
今季J3成績:0試合・0得点0アシスト
ドリブルでのカットインや反対側の味方からサイドチェンジを受けての右足シュートなど、技巧的にゴールを狙える左45度は”米澤ゾーン”だ。基本は右足だが、左足のクロスでアシストも狙える。昨シーズンは12得点5アシストと多くの得点シーンに絡んだが、終盤戦に右膝の大怪我を負ってしまった。今シーズンは逆に昇格が懸かるであろう後半戦での大復活が期待される。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。