鳥栖MFのイエロー判定→警告2枚退場ジャッジに賛否 元Jリーガー異論「論外です」
鳥栖MF長沼洋一のファウル判定を「Jリーグジャッジリプレイ」で検証
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、3月12日のJ1第4節セレッソ大阪とサガン鳥栖の試合が取り上げられた。この試合では鳥栖のMF長沼洋一がイエローカードを2回提示されて退場処分になっていた。
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1つ目の場面は後半4分、長沼が突破を仕掛けたところでC大阪のMF毎熊晟矢にボールを奪われ、即座に奪い返しにいったスライディングタックルに対してイエローカードが提示された。さらに同44分、C大阪のFWカピシャーバの突破を防ごうとした長沼は相手を抑えたファウルによって2枚目のイエローカードが提示されて退場処分になった。
ゲスト出演した元日本代表DF槙野智章氏は、1枚目の警告を受けたプレーについて「僕がレフェリーならファウルでいいと思う。カードなし。ボールにアタックは行っているけど、毎熊選手の身体も入っている。危険だけど、ファウルで注意。コミュニケーションでいいと思う」と語った。
そして2枚目の警告シーンについては「ハッキリ言っていいですか、論外です、マジで。こんなのカードの対象でもないし、(レフェリーは)近くで見ているし。Jリーグがもっとレベルが高くなるうえで選手はかなり努力している。もっといいリーグにするのであれば、こんなのをファウルを取っていたらゲームもクソもなくなる」と、私見を述べ「退場もあり得ない、カードもあり得ない、ファウルでもないです」と強い言葉を並べた。
一方で、元日本代表FW佐藤寿人氏は槙野氏の意見を「ええー?」というリアクションで聞いていたが、「初見はマキ(槙野氏)と同じ、ちょっと厳しいなと。主審側の画で見た時にすごくいい位置で見ているし、カピシャーバ選手が中に入ったタイミングで長沼選手が身体を入れるのではなく先に手で胸を抑えていて、これがまさにカードの対象なのではないか」と、このプレーを分析。「止めるために手を使って、長沼選手の対応が良くなかったと思う」と話した。
また、1枚目のイエローカードについて佐藤氏は「マキと反対で、ボールをロストして自分で正しいタイミングでのスライディングができていない」と指摘し、槙野氏は「確かに印象は良くないが、コースに(スライディングに)いっていて、毎熊選手も来ると分かっていて足を出してブロックしている」とコメント。それに対して佐藤氏は「(スライディングが)左足だったらコースに行っているというのは分かるけど、右足なので毎熊選手の身体に近いところ。やっぱり危険なタックルとみなされておかしくない。これをコースに行っているという見方は、主審の見ている位置からは難しいのではないか」と話した。
2枚目の警告シーン、競技規則上は「程度が関係なくファウル」
元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、1枚目の警告について「お2人が話していたところもそうだと思うので、パッと見ではイエローカードも仕方ないと思った。ただ、レフェリーチームが見ることのできないバックスタンド側からの映像を見ると、スパイクの裏は相手に向けられていない。足が出てくるところに裏が向かった事実はあるが、当たった事実はない。それが無謀な行為、力と言えるかはやや欠ける」と指摘。ファウルは間違いないとしつつ、「イエローカードが出ても仕方ないと思いつつも厳しいかなと思う」と話し、イエローカードが出るか否かの程度としては60%程度と意見を述べた。
また、2枚目については「テクニカルな話をすると80%くらいの程度になると思う」としたうえで「相手を抑える行為は、競技規則上は程度が関係なくファウルになる」と判定についてコメント。そのうえで、イエローカードが出るか否かについては「セレッソの選手の前に大きなスペースがあり、ゴール方向に向かい、距離も(ゴールに)十分に近いと言える状況。ここから見ると、イエローカードのにおいがする。ところが、DFの枚数などを見れば十分に揃い、ほかのセレッソの選手の位置関係を見ると、チームとして大きなチャンスと言い切れるかは下がる。それを見比べた時に、真っ黄色とは言えない。幅があるので、考慮できるシチュエーションかと思う」と話した。
結論として家本氏は両方ともカードを出さないとして、特に2枚目のイエローカードについての酌量は「競技規則上はありません」としたうえで「慣習や暗黙の了解値はあります。2枚目についてはより丁寧に判断しましょうとなる。目を潰れない状況なら仕方ないが、酌量の余地がある時は(カードを)出すこともいいし、少しマネージ、ゲーム全体の魅力や意図、得点差など環境を考えてと。1枚目も2枚目も関係ないというのは前提に、レフェリー界にそういう考え方はあるにはある。それは海外に行った時も言われた。ただし、絶対じゃない。1枚だから出す、出さない、2枚目だから出す、出さないについて絶対なものは調整しない」と説明していた。