2年連続J1残留決定 戦力差を埋めた甲府が成し遂げたジャイアントキリング
365日成長し続けるチーム
J1甲府は22日、ホームで広島と対戦して2-0で勝利を挙げ、今季初の3連勝を果たした。残留争いを展開していた17位のC大阪が14位仙台と3-3で引き分け、16位大宮が5位柏に1-2で敗れたため、クラブ史上初となる2年連続のJ1残留が決まった。
今季のトップチームの人件費は約3億円。首位の浦和レッズの約7分の1以下の戦力で戦った。甲府は気の遠くなる戦力差を埋め、来季も“J1”での戦いを手に入れた。
城福浩監督は「残留を決められたことは素直にうれしいです。選手、現場スタッフ、フロント、スポンサー、サポーターすべての人の力が集結しなければ、この新しい歴史は作りえなかった。ヴァンフォーレに関わったすべての人に感謝したい。苦しいときも良いときもやり続けることがいかに大事かを改めて感じた1年でした。2014シーズンも残り2試合。みなさんともに戦いましょう」と喜びを言葉にした。
J1二連覇中の強豪を倒した直後、ゴール裏のサポーターからは城福コールが巻き起こった。そして、「2015年も城福浩と戦いたい」という大きな横断幕が掲げられた。
城福監督は2012年、甲府の監督に就任後、J1昇格、そして2年連続の残留を成し遂げた。クラブスタッフはこう証言する。
「毎年、リーグが終盤を迎えるころに成長を実感できる。J2で優勝が決まってからもチームの調子は落ちることなく、最後まで成長し続けていました。今年も毎日、練習を見ていると、選手たちからは充実感がうかがえる。それは城福さんが監督に就任してから一貫していること」
その言葉どおり、リーグ終盤に向けて選手、チームは成熟し、ここ5戦は負けなし。戦力差を埋めるための365日の地道な歩みを積み重ねて進化し続けるチームを今季も作り上げた。その指揮官は、サポーターからの惜しみない愛情に拍手とお辞儀で応え、目頭を熱くしていた。
現在J1でクラブ史上最高順位となる13位につける甲府。残り2試合で小さな地方クラブは、さらなるジャイアントキリングを狙う。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images