「明白な違いとは言えない」 横浜FM×広島、空中戦ファウルの“判定差”に日本代表OB&元主審が見解

横浜FMのDF永戸勝也【写真:徳原隆元】
横浜FMのDF永戸勝也【写真:徳原隆元】

「Jリーグジャッジリプレイ」で元日本代表戦士や元主審の家本氏が分析

 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、3月3日に行われたJ1リーグ第3節、横浜F・マリノスとサンフレッチェ広島の試合が取り上げられた。この場面では、後半30分に横浜FMのDF永戸勝也と広島のDF中野就斗による空中戦で、永戸にレッドカードが提示された。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 広島のGK大迫敬介が出したロングボールに両者がジャンプして競り合って、永戸の上腕から肘にかけた部分と中野の顔面に接触があり、中野が倒れ込んだ。当初はノーファウルの判定だったが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の進言でオンフィールドレビューが行われ、中村太レフェリーから永戸にレッドカードが提示された。

 また、この試合では後半20分に広島のFWナッシム・ベン・カリファと横浜FMのDF畠中槙之輔が空中戦で接触。ベン・カリファの腕が畠中の顔面にヒットするプレーがあり、中村レフェリーはイエローカードを提示していた。そのため、永戸のプレーがファウルであるかどうかと、ベン・カリファのファウルとの比較も論点になった。

 このゲームの解説も務めていてゲスト出演した元日本代表DF坪井慶介氏は、「永戸選手のところはいいヘディング、ノーファウルだと思っていた。ベン・カリファ選手のところはイエローカードだと思っていた」とコメント。一方で、「ゲーム自体を円滑に進める、収めるという意味でレフェリーがイエローカードを出すという判断でもいいと思った」と話した。

 また、同じくゲスト出演の元日本代表DF安田理大氏は「ベン・カリファ選手はヘディングの動作の前に腕を相手に向けたところから競りに行っている」と指摘。ただし、「ベン・カリファ選手のものがイエローカードなら、こちらもイエローカードでいいのではないか」と見解を述べた。そして、「マリノスの選手が、レッドカードが出た時に『さっきのはどうなんだ』とリアクションしている。その気持ちはよく理解できる」としている。

家本氏は顔面に当たった場所と角度に関して指摘

 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、「2つのシーンとも安全に対する配慮がないとして、ファウルになることはクリアしている。そして2つとも結果的に助走スピードもあるなかで、腕という固いところが顔あるいは首のあたりに当たる危険な行為なので、少なくともイエローカード以上が確定する」としたうえで、レッドカードが出るか否かに対しての要素、VARの経験からも介入の理由を話した。

「永戸選手のほうが、やや過剰な力があるように見えるのが1つ。そして現役時代にFIFA(国際サッカー連盟)やAFC(アジアサッカー連盟)など海外で言われたのは、肘から上で当たるのと、肘から下で当たるのは、上のほうがパワーが強いということ。ベン・カリファ選手は肘より下、永戸選手は肘から上で当たっているので差が出ている。

 もう1つは肘が相手に向けられたかどうか。永戸選手は肘が鋭角になった方向が当たる。そのため、厳密に見ていくとレッドカードが出るボーダーになる。ベン・カリファ選手のものはレッドカードのボーダーにやや足りないとなる。そのため、レフェリー目線では納得感がある、妥当だとなる。永戸選手のものは80%くらいのところにあり、ベン・カリファ選手のものは60%くらいのもの。ただ、仮に現場で永戸選手にイエローカードが出ればVARは介入していないと思う。60%と80%でははっきりと明白な間違いと言えない。そして、レッドカードも100%ではなくボーダーではないもの。両方ともイエローカードと感じた(ゲストの)2人の感覚も十分に理解できます」

 そして、VARの立場から「レッドカードのボーダーであるとしたら、ノーカードでは明白な間違いと言えるので介入する。そのうえで、主審がボーダーに感じることなく、ベン・カリファ選手のプレーとの比較もしてイエローカードにすることもできたシーン」と話し、主審の最終判断がレッドカードでない選択もあったと話した。

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング