浦和DF酒井宏樹、絶妙スルーパスで見せた新境地 「純粋にもっと上手くなりたい」と語る訳
酒井のパスから興梠がPK奪取、C大阪戦で浦和が2-1勝利
浦和レッズは3月4日のJ1リーグ第3節、セレッソ大阪とのホームゲームに2-1の勝利を収めた。その同点ゴールは、今季主将に就任した日本代表DF酒井宏樹のスルーパスから生まれた。
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前半にオウンゴールで先制を許した浦和は、ボールを持つ時間も長かったものの攻めあぐねる印象も強い試合展開になった。そこに風穴が空いたのが後半14分、酒井がFW興梠慎三を狙ったスルーパスを供給すると抜け出した興梠がペナルティーキック(PK)を獲得。これをDFアレクサンダー・ショルツが蹴り込んで同点ゴールを決めると、後半37分には途中出場のMF安居海渡が決勝ゴールを決めた。
酒井はその前の時間帯にも似たような場面があった興梠へのスルーパスについて「慎三さんなので、あのような抜け方をしてくれるのは分かっていましたし、あとは僕のタイミングでした。1本目はオフサイドでしたけど、もう少し早めに入れた結果、そちらが点に絡むことができて良かったです。正直、慎三さんしか最初のゴールを獲るイメージが描けなかったので託すようなボールでしたけど、結果的に誘発してくれて良かった」と、3試合目にして今季のチーム初ゴールになったことも踏まえて話した。
酒井は柏レイソルから2012年夏にドイツ移籍して4年間プレーし、フランスの名門マルセイユで5年間プレーしたあとの21年夏に浦和へ加入。昨年はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出につながった、準決勝の全北現代(韓国)戦で、1点ビハインドの延長後半アディショナルタイムに見せた魂のスライディングタックルから同点ゴールに導いたプレーも印象に強い。その代名詞は高さも含めたフィジカルとスピードであり、攻撃参加と言えばボールをキープしたサイドハーフの外側をダイナミックにオーバーラップするプレーが思い浮かぶ。
しかし、今季マチェイ・スコルジャ監督が就任した浦和では、よりインサイドに入ってプレーすることが求められている。このスルーパスもタッチライン際ではなく、ハーフレーンと呼ばれるような右のインサイドから攻撃に関わって出したもの。タッチライン際に張るばかりでなく、このような位置取りから背後に抜け出して直接ゴールに向かうようなプレーも開幕から3試合で見せている。プレーの幅を広げ、新たな一面を見せているように感じられる部分について酒井自身はこう話している。
「それが得意な選手も上手い選手も同じサイドバックでもいっぱいいるので、そういう選手のプレーを見ながらやっています。Jリーグにも本当に良いサイドバックの選手がいるので、そこを参考にすることは自分のためになります。僕は32歳までヨーロッパでやっていましたけど、純粋にもっと上手くなりたいですし、そこは突き詰めていかないといけない」
今季はスコルジャ監督から主将に任命され、右腕にキャプテンマークを巻いてピッチに立っている。ギリギリのコンディション調整を行いながらのシーズン序盤になっている酒井だが、今季3試合目でのシーズン初勝利に「長かった勝ち点3なので、みんなで大事に味わいましたし、この勝利を忘れずに一歩一歩進んでいきたい」と語る。今季の酒井は、対人の守備能力やタッチライン際を疾走するだけでなく、ゴールに直結するようなパスや走り込みをする姿も日常になっていきそうだ。