浦和の大卒MF安居海渡は“大きな発見” 「自信があった」C大阪戦の決勝弾…日本代表を狙える逸材が開花
安居海渡が後半37分にゴール、C大阪戦の2-1勝利に貢献
浦和レッズは3月4日のJ1リーグ第3節、セレッソ大阪とのホームゲームに2-1の勝利を収めた。後半37分の決勝ゴールを決めたのは、大卒2年目の若手MF安居海渡だった。
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浦和は前半にオウンゴールの失点。しかし、後半16分にDFアレクサンダー・ショルツのPKで追い付くと、ホーム開幕戦での勝利を目指した。後半32分、安居はMF小泉佳穂との交代でピッチへ。トップ下に入ると5分後に歓喜の瞬間が訪れる。ショルツの縦パスを途中出場のFWブライアン・リンセンが前線に浮き球でつなぐと、相手と競り合ってボールをものにしたMF関根貴大をサポートするように走り込んだ安居のところへボールが渡る。
クロスするように走り込んだDF明本考浩に対し「自信があったので『スルー!』って声をかけた」という安居は、右足シュートを名手GKキム・ジンヒョンの届かないゴール右上に流し込んだ。殊勲の一撃に「素直に嬉しかったです。逆転勝利の点を自分が決められたのも嬉しい。決める時は力を抜けて蹴れていたので、それで良いところにいったと思う」と喜んだ。
安居は浦和学院高校から流通経済大学を経て昨季に浦和加入。同大学の中野雄二監督は「本学OBの日本代表MF守田英正よりも、将来、日本代表としては可能性があると思う」と話したほど。ボランチの一角として即戦力級の大きな期待があった。
しかし、リカルド・ロドリゲス監督が率いる出場機会は全くと言っていいほど訪れなかった。チーム内での選手たちから聞こえてくる評判とは全く違う姿に「正直悔しい気持ちにもなり、練習でも嫌になることもあったんですけど、腐ったら意味がないと言われていて、去年だと江坂(任、蔚山現代)選手などが気にかけてくれて、やる気にさせてくれたことがあった」のだという。
一方で安居はその自分を「ボランチとしてはここが凄いというのは、多少はあると思いますけど、ずば抜けて何かが凄いというのは出しづらい」と自己分析する。全体を整えるようなゲームメイクが得意なMF岩尾憲、ゴール前まで飛び出していく運動量や高さも武器のMF伊藤敦樹に加え、よりゴールに直結するパスを出すMF平野佑一、ボール奪取力に優れたMF柴戸海が所属するなか、安居はバランス型であり1人だけプロの経験がなかった。その状況下で、チャンスは訪れなかった。
指揮官も安居の得点力に期待「10番のポジションでやらせたいんじゃないかと」
今季就任したマチェイ・スコルジャ監督はプレシーズンの沖縄県トレーニングキャンプで、平野との組み合わせでボランチに組み込んでいたほかにもトップ下の位置に配置することがあった。全体にトップ下の選手層が薄く、ボランチは前述の選手たちに加えてMF堀内陽太がユースから昇格した人数バランスもあっただろうが、安居は指揮官の意図について「自分的には10番のポジション(トップ下)でやらせたいんじゃないかと思っていて、監督からも前からのプレスもそうですし、シュートも良いものを持っているから、それをドンドン出せるのはもう1つ高い位置ではないかと言われている」と話している。
後半20分、スコルジャ監督は関根の投入を用意していたが、相手FWレオ・セアラに勝ち越しゴールを奪われたかに思われた場面で、リンセンと安居を呼んで3枚替えを準備した。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックによりオフサイドでゴールが取り消され、当初の予定どおり関根のみ投入したが、指揮官が安居の得点力に期待していることはこの動きからも明らかだろう。
スコルジャ監督はハイプレスという言葉も用いながら、全体にチームの重心を前に置くようなサッカーを志向している。トップ下では小泉の起用頻度が高いが、このポジションで1試合を1人でやり切るのは簡単ではない戦術であり、強度や得点能力、技術も要求される。ボランチで戦える運動量や強度に加えて得点能力のある安居の起用は、今季の浦和にとっても大きな発見になったと言えるかもしれない。