齋藤の心を刺激したハリルの“経験不足”発言 「代表よりもマリノスで」の一言に込めた決意
晴れやかな表情で「経験不足」の課題に挑む
W杯最終予選に参戦しながら2試合ともベンチで仲間が戦う姿を見守るだけに終わった齋藤は、G大阪戦後にここ数週間の出来事に触れながら、こう振り返っている。
「代表ウィークで20日間くらい全く試合をしてなかった。練習だけでそんなに満足に取り組めないなかだったので、ちょっと最初はしんどいかなと思ったんですけど、90分持ったし、今日よりもいいコンディションでまた次を迎えられると思うので、代表っていうよりもまずマリノスで結果を残したい。あの……、経験積まなきゃいけないので。しっかり経験値を積んで試合に出られるように頑張ります」
苦しい体験をした後でも、齋藤の表情はどこか晴れやかだった。ハリルジャパンのレギュラーに定着し始めているFW原口元気や清武らと同じ“ロンドン世代”。26歳にして突きつけられた「経験不足」という課題を、齋藤は真正面から受け止めていた。
「代表よりもマリノスで」。悔しさを隠すために出た言葉かもしれないが、そこには彼なりの決意が確かにこもっているように感じた。今季通算9得点目で大台に大手をかけても「今年は二桁(得点)どころじゃなかったから、本当は。もっと取ってもおかしくなかった」とひたすらに前を向く。悔しさをバネに、さらなる高みへ羽ばたくことを誓っていた。
【了】
石川 遼●文 text by Ryo Ishikawa
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
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