開幕2戦連続ノーゴール負けの浦和、「リンセン→興梠」で模索のFW起用法がテーマ

浦和の興梠慎三(左)とブライアン・リンセン【写真:Getty Images】
浦和の興梠慎三(左)とブライアン・リンセン【写真:Getty Images】

2試合連続でリンセンが先発、興梠が途中出場もゴールは奪えず

 浦和レッズは、2月25日に行われたJ1リーグ第2節で横浜F・マリノスに0-2の完敗。FC東京との開幕戦から無得点の2連敗となったが、最前線の選手起用が1つのテーマになりそうな気配を見せている。

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 今季、浦和はマチェイ・スコルジャ新監督が就任。指揮官は4-2-3-1を採用するにあたり最前線の選手を「9番」、トップ下の選手を「10番」と呼称している。その9番は、2試合ともオランダ人FWブライアン・リンセンが先発し、FW興梠慎三が途中出場。両者の違いについて、試合前に「裏のスペースを狙うならブライアンがプレーすることが多くなるでしょうし、ポゼッションしながら攻撃するということであれば慎三が適している」と話していた。

 このゲームでは前半半ばまで浦和は全く敵陣で危険な場面を作れなかった。リンセンはフィニッシャーとしてはオランダ1部で通算100ゴールを越える実績を持つが、前線のポイントになってボールを収めるプレーにはあまり積極的ではなく、広範囲に顔を出すタイプでもない。相手の最終ラインとの駆け引き、あるいは背後への抜け出しに強い意識を持つが、横浜FMのハイプレスに後方が苦しんでいるなかで、「10番」のポジションからMF小泉佳穂が前線とのリンクを作ろうと奔走するなかでも前線に定位し、足元に入ったパスで無理なターンを試みてボールロストをする場面もあった。

 一方でハーフタイム明けから出場の興梠は相手の間に顔を出しながら一度ボールを受ける、収めるプレーを見せたことで、浦和はそこを橋頭保に後方から選手がサポートして押し上げていく形を作った。興梠の投入から15分間で具体的な可能性のある位置からのシュートチャンスを3回作り出している。一方で、それは興梠が下がって受けてリンクして別の選手が飛び出している状況でもあり、J1で浦和史上最多ゴールの記録を持つストライカーをゴール前で勝負させることができているとは言い難い。

小泉は「お互いにいい距離間でのパス交換だったりができるといい」と指摘

 小泉は「今日だと慎三さんの浮いたパスを収めるところで助かったけれども、あれは個の質に頼っているもの。あれがもちろん武器なんですけど、もう少しチームとしていい形を作れる関係性だったり、お互いにいい距離間でのパス交換だったりができるといい。僕とか大久保(智明)、(ダヴィド・)モーベルグ、ブライアンがもっといい形でボールをもらって、決定的な仕事の回数を増やしたいのがチームとしての課題」と話す。「9番」を前進に組み込まなくて済めばフィニッシュの精度で勝負させることもできるが、現状は前進のために興梠の力が必要な状況とも言えるかもしれない。

 スコルジャ監督は両者の起用法について「後半は慎三が入ることによって、前線でボールをキープしてタメを作る場面は増えたと思います。それが慎三の能力だと思います。ただ、慎三の場合は、何分プレーできるのかが分からない。そして試合の流れや強度のことを考えて、スタートから起用したほうがいいのか、後半から入ったほうがいいのかも考えます。F・マリノスのような素晴らしいチームに対してハイプレスをかけようと思った時に、それが消耗にもつながりますので、よりスペースが空いたところで慎三を起用するという考えでした」と、36歳のベテラン興梠の体力的な部分を考慮した難しさも吐露した。

 両者のコンディションやその試合、その時間帯にチームがどんな「9番」を必要とするのかによっても最適戦略の変わってきそうなリンセンと興梠の起用法だが、同時に彼らの良さを生かすためにもチームの攻撃の質も高めることが急務だと言えそうだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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