監督の早期解任もあり得る? 玉田圭司が大胆予想する今季J1の注目ポイント、“試合間隔”の違い「ものすごく大きい」

スタジアムに声援が戻ってきたJリーグ【写真:徳原隆元】
スタジアムに声援が戻ってきたJリーグ【写真:徳原隆元】

【専門家の目|玉田圭司】新シーズンの注目ポイントを考察…基本週1開催となる利点や監督の入れ変えなどを予想

 2023年シーズンのJリーグが開幕したなか、「FOOTBALL ZONE」では30周年を迎えた今大会を特集。現役時代、柏レイソルや名古屋グランパス、セレッソ大阪などで活躍した元日本代表FW玉田圭司氏に、新シーズンの“注目ポイント”を解説してもらった。(取材・構成=河合 拓)

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 今シーズンのJリーグは、新型コロナウイルス感染対策の規制が緩和され、スタジアムには声援が戻ってきた。玉田氏は「プレーしている選手にとっては声援が力になりますし、観ているほうも力が入ると思います。お互いにとって、良いことだと思いますね」と、かつての日常に1歩近づいたことを喜んだ。

 今年はAFCアジアカップ(杯)が行われる予定だったが、開催国だった中国が権利を返上したことで大会は延期に。この影響もあり、今シーズンのJ1の試合は基本的に週末にゲームが行われることとなり、ミッドウィークの試合がほとんどない。試合が週に1度となると、どのような影響があるのか。

「試合が週に1回の影響は、ものすごく大きいと思います。選手層が厚いに越したことはないと思いますが、特にベテラン選手たちが調整しやすいのではないでしょうか」と指摘した。

 試合が立て込むと負傷リスク軽減のため、ベテラン選手の起用時間が限定的になったり、2試合に一度しか起用できなかったりすることもある。だが、週に1試合となれば、リカバリーへの時間の余裕が出てくる。

「川崎フロンターレの家長昭博選手であったり、FC東京のディフェンスラインにいるDF森重(真人)選手は、もちろん今シーズンもやってくれるんじゃないかなと思います。ベテランは年齢だけでなく、経験を持っているという選手になるので、その点では香川真司選手にもものすごく期待していますね。彼にとっても久しぶりのJリーグで週に1回、試合をしながら合わせていけるのは大きいですね」

 さらに玉田氏は、日々の調整にも影響があるとも指摘し、「試合で出た課題を修正する時間もあります。週末だけでなく、週中にも試合が入ると、練習はほぼリカバリートレーニングだけになってしまう部分があります。それが前節の試合の修正だったり、課題の克服みたいなものに充てられます。試合の間の過ごし方は、全然違いますね」とも語った。

玉田圭司氏は、G大阪の新キャプテン宇佐美貴史に期待【写真:Getty Images】
玉田圭司氏は、G大阪の新キャプテン宇佐美貴史に期待【写真:Getty Images】

新監督を迎えたのは浦和とG大阪のみ「FWにどんな役割を託すのか」「宇佐美に期待したい」

 今シーズン、もう1つ特徴的なのは、監督の交代が例年以上に少なかったことだ。新監督を迎えたのは、浦和レッズとガンバ大阪の2クラブのみ。「各チーム、同じ監督のもとで継続していることで、より成熟したサッカーを見せることができますし、開幕戦でも狙いを持った面白い戦いを見せてくれたと感じます。新監督が来た場合は、観ているほうも『まだまだ新監督になって間もないから』と見るでしょう。しかし、2シーズン目以降になると、積み上げてきたものがしっかり試合で見せられるかが大事になってきます」と言い、さらにシーズンが始まってからの展開も予想した。

「継続しているからこそ、早い段階で連敗が続いたりすると、監督を代えるのが早いクラブもあったりするかもしれません。J1のクラブの監督に就任することを待っている監督もいるでしょう。我慢してくれるクラブもあると思いますが、めぼしい次期監督がいれば、コロっと変えるクラブもあるはずです」

 各クラブがどのような目標を掲げていて、どのようなスタンスでシーズンを過ごすかも今シーズンは、よく見えるものになりそうだ。

 そして、マチェイ・スコルジャ新監督を迎えた浦和については「ハイプレスをやったりすると聞いています。強度が上がった試合が僕は好きなので、注目したいですね。1トップを務めていた選手が多く抜けました。その狙いが個人的なパフォーマンスによるものなのか、チームのスタイルによるものなのかは分かりませんが、ブライアン・リンセン選手に期待している部分が大きいのかもしれません。FWにどんな役割を託すのかも楽しみです」と、語っている。

 また、G大阪も徳島ヴォルティスを率いていたスペイン人のダニエル・ポヤトス新監督を迎えている。開幕戦では4-3-3を用いて、柏レイソルと2-2で引き分けた。G大阪の注目選手としては、今季から7番を着けることになった元日本代表FW宇佐美貴史を挙げている。

「今シーズンは、宇佐美(貴史)選手がインサイドハーフ気味にやると思うので、個人的には興味深いですね。ゲームをつくることがタスクとしてあると思いますが、そのなかで彼のような中心選手は上がっていくと思うし、点を取ることもできると思います。怪我から戻って懸けるものもあると思うので、開幕戦も点を取ったし期待したいところです」

 新監督を迎えた2クラブは、昨シーズンの浦和は9位、G大阪は15位と順位を伸ばせなかった。2023シーズンはどのような戦いぶりを見せてくれるだろうか。

[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役を引退した。

(河合 拓 / Taku Kawai)

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