J1全18クラブ「戦力格付けランキング」 横浜FM&川崎がAランク評価…“V候補”に迫る筆頭格は?

広島躍進の鍵を握るソティリウとベン・カリファ【写真:徳原隆元】
広島躍進の鍵を握るソティリウとベン・カリファ【写真:徳原隆元】

昨季3位の広島は、助っ人FWの出来が鍵に

“2強”に食い込むチーム力があるのはBランクに評価した3クラブ。その筆頭格は昨シーズン3位のサンフレッチェ広島だ。攻守のバランスが非常によく、ミヒャエル・スキッベ監督の手腕には十分期待ができるため鬼木監督に次ぐ高評価とした。攻撃力は80にとどめたが、外国人助っ人FWのナッシム・ベン・カリファやFWピエロス・ソティリウが真価を発揮できれば、横浜FMや川崎の対抗勢力になり得る。

 浦和レッズはマチェイ・スコルジャ監督が沖縄キャンプからシンプルで明快なメッセージを選手たちに伝えており、適応はかなり早いと想定できる。ターゲットとしていた外国人FWの獲得が叶わず攻撃力は76にしたが、北海道コンサドーレ札幌から復帰したFW興梠慎三や2年目のFWブライアン・リンセンなど実力者は揃っている。4-2-3-1のトップ下起用が予想されるMF小泉佳穂に「10番」(背番号ではなく、ポジションの役割を意味する)の自覚が出てきたことも大きい。生命線となるハイプレスの機能次第でスタートダッシュも可能だ。

 就任3年目の小菊昭雄監督が指揮を執るセレッソ大阪は、組織的な守備の安定をベースに、徳島ヴォルティスからレンタルバックのパリ五輪世代FW藤尾翔太、横浜FMで2年連続二桁得点のFWレオ・セアラ、アビスパ福岡から新加入の気鋭サイドアタッカーMFジョルディ・クルークス、そして欧州から復帰したMF香川真司と、オフェンス陣のパワーアップは間違いないところ。あらゆる要素がプラスに働けば、リーグ優勝の水準に届くと見るが、横浜FMや川崎、広島などが多少、前半戦に勝ち点を落として混戦模様になることが条件かもしれない。

 戦力ランクCの6チームは、優勝争いを演じるにはやや厳しい状況ながらも、上位争いを演じるポテンシャルは十分。名古屋グランパスは浦和からFWキャスパー・ユンカーを獲得しており、攻撃力アップへの期待はある。リーグ最小失点だった守備力を大きく下げることなく、得点数を増やせるかがテーマになるだろう。昨季の課題として浮き彫りとなった攻守のバランスに関しては、鹿島から復帰のMF和泉竜司が“接着剤”の役割を果たしそうだ。

 アルベル・プッチ・オルトネダ体制で2年目を迎えるFC東京は、間違いなく戦術的なベースが昨シーズンより上がるはず。長谷川健太前監督の“遺産”も活用した昨季は、良い意味での雑味があるチームでもあった。それがボールを動かして攻め切るスタイルを構築するプロセスにおいて、対戦相手の対策にハマりやすいリスクはある。ただ、横浜FMから加入の仲川や“兄貴”の異名をとるMF小泉慶といった勝者のメンタリティーを持つ経験豊富な選手がそこをカバーする形で、勝ちながら成長するサイクルを見出せるかもしれない。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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