三笘薫の無双ドリブル、世界的にオリジナル型? 守備者が「気付けば抜かれる」特異技を考察
世界的にも稀な三笘の無双ドリブル、類似系を強いて挙げるなら…
三笘とそっくりな選手というとなかなか浮かばないが、ドリブルの効果という意味で強いて挙げるなら、若い頃の元フランス代表FWフランク・リベリーがそれにあたるかもしれない。同時期に活躍したオランダ代表FWアリエン・ロッベンほどの爆発的なスピードはないが、しなやかさがあり、ボールタッチの強弱が非常に上手い。そして視線が前にあるので、左右の切り返しが直前まで読めない。何よりドリブル突破がゴールに直結するところは三笘に通じている。
おそらく最も大事なのはドリブル突破がいかにチームを助けるかということだ。ベルギー代表MFエデン・アザールが注目を浴びた時も、そうしたインパクトがあった。プレミアリーグで活躍し続けるのは簡単ではないだろうが、三笘という選手は常に研究し、アップデートしていくことを怠らない選手だというのは川崎時代の取材でも伝わってきた。
振り返ると2020年、コロナ禍でJリーグが中断する前の沖縄キャンプで、川崎の大卒ルーキーだった三笘に話をしたことが、懐かしくもつい最近のようにも感じられる。謙虚にもまっすぐな姿勢というのが、実は彼の最大の強みにも思うので、そこを変えることなく真のワールドクラスを目指して、さらに活躍を続けてほしい。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。