フライブルク堂安律「戦術どうこうじゃなく…」 6失点大敗から再起、CL出場権獲得も視野「かなりポジティブ」
フライブルク、CL出場権獲得に向けた“大事なポイント”は?
フランクフルト戦でフライブルクが見せた勢いは、ボルフスブルク戦のそれと全く別物だった。相手に息をつく暇さえ与えずに連続でプレスを仕掛けていく。弱点となるセンターバック裏のスペースへロビングボールを入れていく。ボール奪取後の素早い攻撃で相手ゴールに迫っていく。フランス代表FWランダル・コロ・ムアニの素晴らしいゴールで1点リードを許したが、後半開始直後にドイツ代表DFマティアス・ギンターの得点で同点に追い付く。中断前にフライブルクが見せていた規律立った躍動感と互いに良さを引き出し合う連続性がよみがえった。
効果的なプレーを攻守に何度も披露していた堂安は、やるべきことをチームとして正しく行えたことへの手応えを口にしていた。
「戦術どうこうとかじゃなくて、もう1回、1対1の局面とかに集中して立ち返ろうという話をしていたし、そういうゲームができたと思います。全選手が1対1で負けない、身体を張る。見てる人たちが沸くようなプレーっていうのが多かったのかなと思います」
自分たちが上位にいるのには訳がある。そしてその大事なベースを忘れてはならない。試合への心構えと戦い方が改めて整理されたフライブルクは、翌節のアウグスブルク戦を3-1で勝利し、2023年初勝利を祝った。
バイエルンが連続で引き分けたため、順位は5位ながら勝ち点差はわずかに3。混戦のブンデスリーガでは最後まで何が起こるか分からない。それだけにシュトライヒはさらにレベルアップを図るうえで、大事な点を指摘していた。
「今季の自分たちのプレーで何か批判するのだとしたら、試合の中で作り出しているチャンスがあれだけありながら、ゴールに結び付け切れていないところだろう。今日も3点を取ることができたが、まだいくつかのチャンスがあったことを忘れてはならない」
堂安やイタリア代表MFビンツェンツォ・グリフォ、オーストリア代表FWミヒャエル・グレゴリッチらがゴールを量産できるようになったら、それこそ来季UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得してもおかしくないだけのチーム力にはなるだろう。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。