三笘薫の美技、生涯最高のゴール? W杯後たった2か月で高騰した価値…世界的スターの仲間入りに膨らむ期待
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【識者コラム】ブライトン三笘薫がリバプール戦で華麗ゴール、欧州日本人が続々活躍
FAカップ4回戦でまたも三笘薫(ブライトン)が美技を披露した。リバプールに2-1と勝利した決勝ゴールは、これまで決めてきた華麗なゴールを上回るものだった。
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フリーキック(FK)をファーサイドで受けたペルビス・エストゥピニャンが折り返すと、三笘は右足のアウトでコントロール、そこから右足のボレーと見せて2タッチ目を浮かせてDFをかわし、3つ目のタッチでゴールした。浮き球を落とさずにシュートまで持っていった一連プレーは完璧な見事さ。試合のインタビューで「生涯最高のゴールか?」と聞かれていたが、そうなるかもしれないゴールだった。
かつてトヨタカップで胸トラップから浮き球でかわしてゴールしたミッシェル・プラティニは「生涯最高のゴール」と言っていたが、このシュートはオフサイドで取り消されているので「決まっていたら」という条件付きである。プラティニの生涯最高得点は幻に終わったが、スーパースターはこの手の得点を決めているものだ。ペレがワールドカップ(W杯)決勝(1958年)で決めた「シャペウ」はあまりにも有名だが、マルコ・ファン・バステンの1988年ヨーロッパ選手権決勝のボレーも忘れられない。
もちろん、三笘はペレ、ファン・バステン、プラティニに比べるような選手ではまだない。しかし、まもなく世界的スターの仲間入りをするのではないかという期待を抱かせるゴールではあったと思う。しかし、W杯後のたった2か月ほどで、三笘の価値がこれほど高騰するとは考えていなかった。
スペインではレアル・マドリー戦で久保建英(レアル・ソシエダ)が何度かの決定機も作り、好調ソシエダの中心選手として存在感を示していた。こちらもW杯後に急速に格が上がった感じだ。
フランスではスタッド・ランスの伊東純也がパリ・サンジェルマンのマルコ・ヴェラッティを退場に追い込むか活躍を見せ、リオネル・メッシ、ネイマール、キリアン・エムバペが揃ったPSGに引き分けた。
そして、ブンデスリーガがようやく再開される。鎌田大地(フランクフルト)や堂安律(フライブルク)も好プレーを見せてくれそうである。
カタールW杯では守備的な戦い方だった日本代表も、ヨーロッパのトップレベルで活躍する選手が続出している状況によって変わっていくかもしれない。
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。