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“失明危機”に陥ったデウソン神戸の松本光平、サッカーとフットサルの“二刀流”での苦悩とは? 茨の道も「知ってもらうことが大事」
フットサルのセットプレーに苦戦「本当に付いていくのに必死」
そのなかでも、やはりサッカーとの違いに戸惑いはあったという。
「今でも(戸惑いは)あるけど、特にセットプレーですね。決まったデザインされたプレーが本当にもう数え切れないほどあったり、それを覚える作業が自分として今までやったことなかった。決まったプレーを決まったとおりに動いて、それを何個も何個も覚えて、試合でとっさに言われた番号に反応して動いたり……とか。最初はすごく難しくて全然できなかった。ほかの選手と比べて、フットサルに関しては自分が一番下手くそだった。本当に付いていくのに必死。目が見えない分、他の選手よりもハンデキャップがある。暗記の部分でも。でも、今はだいぶ慣れてきて、覚える作業もできてきているんじゃないかなと思っている」
決まったプレーはそれぞれの携帯に送られてくる時もある。松本には見づらいなかで、文字起こししてもらったり、大きいタブレットの画面に表示させて覚えたりする。それでも、ほかの選手に比べると理解するのに時間がかかるため、ピッチ上で反復練習し、1人追加で練習時間を増やす。サッカー、フットサルと向き合い、自身とも向き合う。デウソン神戸に加入したことで得たものは多かった。
「フットサルはそもそもボールが少し小さかったり、足裏で止めることがすごく多い。サッカーだったら、インサイド、面で止めたらいいけど、足裏の点で止めなきゃいけない。トラップはいまだにすごく自分としては難しい。ただ、目の影響で最初はサッカーボールも全然トラップできなかったり、浮き玉が見えなかったりしたけど、トレーニングしていって、補っていけた。これからも続けていったら、ちょっとずつ改善していけるんじゃないかなと思っている」
現在は週1、2回の頻度で目の専門機関でリハビリを続けている。地味なトレーニングだが、コツコツ続けているなかで、プレーできるようになってきた。今では、目に同じような障がいを抱える人達から連絡がくる機会が増えた。
「特に子供たちですね。途中で目が見えなくなってしまった子がサッカーボールのトラップができないとか、遠近感とか距離感が分からないという子にはそういったトレーニングとか、リハビリの話をしたり。もうそれこそ一緒に連れていって、トレーニングしたりもしていて。この前、試合見に来てくれた子はここ1年以内に急に片目が全く見えなくなって、もう片方の視力も徐々に落ちていて、本当に自分と似たような子だった。それでもサッカーを続けたいからどうしたらいいかと聞かれたので、一緒にリハビリをしようっていう話をした。ただ、すごく地味なトレーニングで1回2回では効果が出ない。あとは、それをその子がずっと続けられるか。でもこういうトレーニングがあるということを知ってもらうことが大事。これからも発信していけたらなと思っている」