原口元気が語る“ウチららしい”サッカー 相手を飲み込む勢いとひっくり返すパワー「それが僕らの一番の強み」
原口も確かな手応え「後半みたいな試合が毎週できればね、また上位に食い込んでいける」
そんなウニオンが後半は吹っ切れたのか、相手をどんどん前から抑え込んでいくプレーが増えた。ホッフェンハイムはボールを逃がすことができず、クリアボールを相手に拾われ、自陣に押し込まれる時間帯が増えていく。
ウニオンのウルス・フィッシャー監督は試合後の記者会見で、「相手の前で足を止めるな。そのまま向かっていけ」という話をしたことを明かしていたが、確かにチームとしての矢印が揃った時のウニオンの勢いは凄い。相手を飲み込んでいく。
後半18分に交代するまで精力的な動きを続け、後半早々に鋭いドリブルからのパスで味方のシュートを引き出すなど、後半は何度もチャンスに絡んでいた原口も、そこには全面的に同意する。
「すべてをトランジション(切り替え)で解決してくるというか、強度で解決した部分はあるかなと思う。それが僕らの一番の強みであるんで。後半、相手に何もさせないようなプレッシャーのかけ方とかはウチららしいなというか。後半もズルズルいかないところがウチらの強さかなと」
このスタジアムには選手の力を最大限に引き出してくれるファンの声援がある。ホームなら自分たちは最後の最後で試合をひっくり返せると誰もが信じてプレーができる。そしてそれが頻繁に起こるのがウニオンだ。
「こういう試合が日常的に起きるので、このスタジアムだと。なかなかないじゃないですか、こういうパワーのあるゲームって。ホームではこういう勝ち方ができるんですけど、アウェーでやられているんで、次が大事ですね。ホームのサポーターの力を借りつつ、後半みたいな試合が毎週できればね、また上位に食い込んでいけるかなって」
現地時間1月25日に昇格組のブレーメンと、そして同28日にはヘルタ・ベルリンとのダービーが控えている。簡単な試合にはならないが、この2試合を上手く切り抜け、2季連続となるEL出場権獲得に向けて、いいリスタートを切りたい。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。